怒り / Rage

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怒り / Rage
10

信じることの難しさ

豪華な俳優陣としても話題となった映画「怒り」。
渡辺謙、松山ケンイチ、宮崎あおい、妻夫木聡、綾野剛、森山未來、広瀬すず、佐久本宝。各世代の演技派の俳優、女優陣が魅せたそれぞれの役が素晴らしかったのは言うまでもないが、やはりこの映画のおもしろさの一番の理由は、脚本にあると思う。
自分の信じた人が、自分の愛した人が殺人犯かもしれない。それでもその人を信じ続けられるか。そんな重い問いを、終始自分に向けられているような気がする。

それぞれが愛した人の真実を知ったあとで、宮崎あおい演じる槙愛子と、妻夫木聡演じる藤田優馬が涙を流すシーンは、この映画の中で最も心に響くものがあった。彼らは相手を信じきることができなかったことに、申し訳なさと悔しさと後悔の涙を流したのだ。相手の全てを知らないと信じきることもできない自分への怒りもあったのかもしれない。一方で信じるべきではなかった人を信じてしまった若い男女も描かれている。広瀬すず演じる小宮山泉と、佐久本宝演じる知念辰哉である。映画を通して、信じるということへの難しさを、観ている者に訴えかけられた気がした。それでも自分が愛した人を信じれる人になりたいと思ったし、後悔の涙を流すようなことにはなりたくないと思った。重たい内容ではあったが、脚本が素晴らしく、その脚本を体現した俳優、女優陣の演技も素晴らしかった。

怒り / Rage
3

鑑賞後の気持ちの整理がつけづらい作品

予告CMが印象的だったので気になり映画館で見ました。サスペンスのような作品で、実際の殺人事件をテーマにしたものだとは分かっていましたが、思っていた以上に鑑賞後の気持ちが重たく、なかなかうまく消化できない作品でした。
東京、千葉、沖縄で現れた身元不明の男たちと、関わっていく人々の群像劇ですが、特に沖縄パートはうまく消化できませんでした。東京、千葉の展開は幸せとはいきませんが、しっかり納得いく結末でした。その反面、沖縄パートは弱者として踏み躙られ、抵抗することも許されない、やり場のないもどかしさが後半になるにつれて露わになっていくのがきつかったです。私は沖縄出身なので、米軍による婦女暴行や、県外から来た人たちとのギャップなどが、他人事に思えなかったという事も関係しているかもしれません。見ていくうちにやり場のない憎しみ、いら立ちが募ってくる映画でした。
また、タイトルである「怒り」のメッセージが、作中でどう表現されていたのかは感じ取ることができず、終始もどかしい気持ちもありました。個人的には、この映画を通して見た人々が何かのメッセージを受け取るというより、見て感じた苛立ちや理不尽さを通して、それぞれの「怒り」や社会にかき消されている理不尽さに気づくような映画なのかなと思いました。どちらにせよこの映画は私には合わなかったです。