乙嫁語り

乙嫁語りのレビュー・評価・感想

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乙嫁語り
9

時代と国を超えて旅をできる

19世紀の中央アジアを舞台に12歳のカルルクのもとに嫁いできた20歳のアミルを主人公に、話は始まります。普通の漫画というより歴史専門の漫画のように時代背景や衣服、食文化が丹念に描かれているため、容易に世界観に飲み込まれて、その国を訪れたような感覚になります。特にアミルが描かれる地域での嫁ぐ準備のために女性がつくる刺繍された布は多くのシーンで描かれ美しさに引き込まれます。読まなくても、眺めるだけでも楽しい気持ちになります。
また、巻によって主人公を変えながら地域を移動するので様々な文化を楽しめます。どの話も中心は結婚や夫婦をテーマにしたもので、親同士が話し合い、結婚式当日に初めてお互いに顔を合わせることや、結婚前に年頃の男女で出歩くこともできなかったり、10代で結婚することが当たり前だとされたり、多くの親族が同居する大家族など現代の日本とは違う風習や情景も多々あり新鮮で面白いです。また、両家の親族の問題もダイナミックに描かかれ、時には戦闘に発展し、手に汗握る場面も臨場感たっぷりに描かれます。国や地域、また民族をまたいだ壮大な物語ですが、巻ごとに主人公と地域が変わったり、ユーモアも交えながらテンポよく描かれているため、話が広がりすぎて混乱することもなく、とても読みやすい漫画です。

乙嫁語り
9

乙嫁って面白いですか。はい、面白いです。

中央アジアが舞台の歴史漫画である「乙嫁語り」。
そう書くとなにやら堅苦しいものを想像しがちですが、これは違います。
そもそも中央アジアってどこ?という知識レベルでも、作者の森薫の巧みな筆づかいで自然に明らかになっていきます。

第一巻は年上の女性アミルと年下の少年カルルクの結婚の儀式からはじまります。
当地の風習や文化がこれでもかというくらい、ふんだんに描かれていきます。
食事のシーンも大変多く、当時はこういうものを食していたのかというのがわかります。その描写のおいしそうなこと。
作者は丁寧に生活のすみずみを描いていきます。そして現代とは違う、人間関係のありかたも。
この漫画のなかでは何度も激しい戦闘シーンが出てきます。
人々は自分の暮らし、プライド、家族などさまざまな理由のために争うのです。
それぞれの立場があり、その数だけ正義があります。
騎馬上の戦いや、武器(弓矢や刀などから、近代的な兵器も登場します)で争うのですが、
この時代は平和そうにみえて、戦闘が身近にあったのだなということを痛感させられます。
各巻ごとに、乙嫁=花嫁さんがそれぞれ登場します。
薄幸、元気、不器用、みんな性格は違います。もちろん彼女たちがたどる人生も。
これほど丁寧に描かれた歴史漫画はなかなかないと思います。