四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy

四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy

『四畳半神話大系』とは、森見登美彦による日本小説、及びそれを原作として制作、放送されたアニメ作品。
小説は単行本では2005年に太田出版から、文庫本では2008年に角川書店から刊行されている。
アニメは2010年に放送された。
そして森見登美彦原作の「夜は短し歩けよ乙女」の映画化を受け、2017年1月から特別放送が開始された。

四畳半神話大系 / The Tatami Galaxyのレビュー・評価・感想

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四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy
9

阿呆な大学生たちの青春が秀逸

アジカンのアルバムジャケットを手掛けるイラストレーター・中村佑介さんが原画を手掛け、色彩豊かで、アニメ好きだけでなく、イラストや芸術が好きな人も楽しめます。内容は、阿保な大学生たちが引き起こすトラブルと青春がテーマであり、学生生活を無碍にしてきた人ほど、彼らの阿保さの魅力にハマると思います。堅苦しい表現や聞き馴染みのない言葉が多く出てきますが、内容自体は「阿保」そのものであり、登場人物のセリフの堅苦しさと、内容の陳腐さとのギャップが魅力です。本作の主人公である「私」はバラ色のキャンパスにあこがれて大学に入学するものの、「小津」という奇妙な男と友人になることで、間抜けで堕落した大学生活を送る羽目になります。あらゆる人の恋路を邪魔したり、新歓イベントをめちゃくちゃにしたり、人気者のサークルのリーダーの醜態を暴いたり…。どれもバラ色のキャンパスライフを送る学生達への腹いせで、実に阿保くさく、不毛なのですが、これが面白い!ほかにも、黒髪でクールな「明石さん」というヒロインや、美人歯科助手で酒豪の「羽貫さん」、留年しつづける謎の存在「樋口師匠」、ラブドールを溺愛する「城ケ崎先輩」などの個性的なキャラクターが加わり、回を増すごとに面白くなっていきます。主人公とヒロインの恋の行方も見逃せません。

四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy
8

アニメ四畳半神話大系の異質さについて

このアニメの原作は著森見登美彦さんの小説である。
森見登美彦さんの豊かな表現力とこのアニメの監督である湯浅政明の美しくも独特な世界観がタッグを組んだ、
まさに他の人には絶対に生み出せない、ゆったりとしているがどこか不安を感じるといった唯一無二の雰囲気が醸し出されている。
注目すべきはその作画である。絵のイメージとしては、背景は人間をリアルに描くものでは無い。
本作品の作画は非常に抽象的で色彩溢れた映像が続く。
さらに特徴があり、それは作中での感情の表し方についてである。
人が動くというよりは背景の移り変わりによって人物の感情の動きを感じることができる。
また、非常に分かりやすく顔を赤らめたり、青ざめたりする事で、画面に明るい時と暗い時のメリハリを付けている。
このように、作画に特徴をつける事でインパクトを作りそれだけで興味を引くものとなっている。
もちろんそのストーリーの面白さもある訳なので、このアニメの深さはとんでもないものになっている。
このアニメは、基本的に1話完結である。物語の主軸は主人公の語りで進んでいくので感情移入がとてもしやすい。
また、1話完結だと述べたが、物語の最後まで見ると点と点が繋がる仕様になっているので気になる人はぜひ見て欲しい。

四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy
9

芸術寄りの青春アニメ

森見登美彦による同名の小説のアニメ化作品です。物語の舞台は京都、大学生である主人公の「私」が悪友の「小津」と時に共闘し時に振り回されながら送る波乱万丈のキャンパスライフがコメディを交えつつ終始軽妙なテンポで描かれます。
この作品でまず特徴的な事は本編開始とともに流れ始める主人公の怒涛のモノローグです。森見作品に特徴的なかなりクセのある台詞回しであり、原作を知らない人にとって最初はかなり驚きますが、二話三話と見進めていくうちにその軽妙な言い回しと声優さんの迫真の演技がクセになり、独特の世界観へと引き込まれていきます。
この演出を用い、全11話という短さの中でこれでもかというくらい主人公の内面を濃く描写していきます。主人公の内面は、自意識が肥大しがちなまさに多くの人がこの年頃に大なり小なり通過するものであり、それらをコメディ化して描くことで、特に大学生の年頃以降の人にとっては、俯瞰しながら見守れる様な視点で楽しめる要素に仕上がっています。
若者あるあるのお悩みの娯楽化がこの作品の一番の醍醐味でもあります。また、物語の背景には京都に実在するスポットが有名な場所から知る人ぞ知るディープな場所まで数多く登場し、住んでいた経験がある人にとっては思わずニヤリとしてしまうお楽しみ要素になっています。
視聴してから京都を訪れて楽しむもまた良し、さらっと軽く楽しめて日常に味わいを落としてくれる一冊の小説の様なアニメです。

四畳半神話大系 / The Tatami Galaxy
10

森見登美彦作品はどこをとっても最高

四畳半神話大系は森見登美彦先生の作品です。アニメ映画化された「夜は短し歩けよ乙女」の作者の作品であり、「夜は短し歩けよ乙女」と「四畳半神話大系」、それと同作者の「有頂天家族」は同じ京都の世界観を生きています。各作品とリンクする場所場面があり、通して見てみると、とても楽しいです。
四畳半神話大系は、主人公である「私」が、人生を無駄に消費しているダメ大学生のダメ大学生っぷりはすべて、不気味な宇宙人のような友人「小津」のせいだと主張し、このダメっぷりをどうにかして抜け出そうとする話です。しかしその望みはすべて砕かれ、小津に人生を全力でダメにされてしまいます。ジャンルとしては青春友情物語ではありますが…どのへんが友情にむかうのか、というところはぜひご視聴ください。
森見登美彦ならではの難しくも情緒のある熟語の織り成す小説本文を、声優の浅沼晋太郎が小気味よくリズミカルにそしてダメっぷりをペラペラと喋ります。とても聞き心地がよいです。
宇宙人のような小津は声優の吉野裕行が気味悪く、そして謎のキュート感を醸し出します。
原作:森見登美彦、キャラクターデザイン:中村祐介、監督:湯浅政明という豪華最強布陣で制作された最強アニメです。なんとなく違った魅力、刺激が欲しい方には大変お勧めです!中二心を持った人は好きだと思いますよ!