ハイスクール・フリート / High School Fleet / はいふり

ハイスクール・フリート / High School Fleet / はいふり

プロダクションアイムズによって、2016年の4月から6月にかけて放送されたアニメ作品。舞台は国土の大半が海に沈んだパラレルワールドの日本。海の安全を守るブルーマーメイドになることを志望している岬明乃は、ブルーマーメイドの養成学校「横須賀女子海洋学校」に入学する。入学試験の結果、晴風の艦長として任命されたが、思いもよらない事件に巻き込まれることとなる。

ハイスクール・フリート / High School Fleet / はいふりのレビュー・評価・感想

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ハイスクール・フリート / High School Fleet / はいふり
8

女子高生×軍艦 夢のために奮闘する女の子達

国土のほとんどが海に沈み人工フロート都市を建設し発展した日本で、海の治安を守る「ブルーマーメイド」になるために奮闘する女の子達の日常と戦いを描いたアニメです。実在した旧日本海軍艦艇に乗り込み船上での生活や戦闘を緻密に描いていて、ミリタリー好きな方も楽しめる作品となっています。日常パートと戦闘パートがおよそ半々の尺があるのでテンポも良く中だるみもなく飽きが来ない作りになっています。
序盤では、主人公達をお尋ね者にすることで主人公達の徐々に追い込まれていく心情と緊張感が引き立たせられていました。中盤に事件の原因がRATSウイルスの感染による暴走であることが分かるのですが、これも誰か悪い人をやっつけるという重いテーマではなく事件を解決して海の、世界の安全を守るという主人公達が目指すべきところをストレートに表していてオチもわかりやすくなっています。
ただ、主人公の岬明乃が艦長としてはあまりにも無鉄砲で自由気ままなため苦手意識を持つ方もいるかもしれません。実際に作中でもそれが原因でクラスがバラバラになり重たい空気が漂ってしまいます。その後の仲直りも多少急ぎ足でした。岬明乃が終盤、戦闘によって誰かが傷つくかも知れないという恐怖に押しつぶされるシーンもあるのですが、これも少し唐突だったように思います。今まで何も考えずにクラスメイトを戦火の中に巻き込んでいただけに急な心情の変化だったように思います(もちろんその思いに至る出来事はあったのですが、それでももう少し何か気持ちが変わる出来事があったらなと思います)。
それでも艦長を支えるべくクラスが一つになり、岬明乃も立ち直り、力を合わせて最終決戦に望む、ピンチの時にこれまでの航海で出会った仲間達が駆けつけるという展開は王道ながら燃え上がる展開で非常に見応えがありました。
そして最後、激戦を乗り越え無事船員を陸へ送り届けた船「晴風」の最期のシーンは美しく見事の一言につきる名シーンでした。
展開に無理がある点もありますが、全体的には非常にまとまりのあるストーリーでテンポもよく見やすい作品です。また、日常シーンにも戦闘シーンにも見所がありまったくダレさせない作品に仕上がっています。

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8

軍艦版のガルパン

ガルパンのようにミリタリーと女子高生の部活を組み合わせた作品で軍艦をテーマにしたものはないのか。
このジャンルが好きであれば、一度は疑問に思うだろう。答えは、「既に『ハイスクール・フリート』がある」ということだ。
ガルパンに比べると知名度に大きな差があるが、だからといって出来が悪いということはなく、軍艦部活が見たいのであれば是非とも本作を見るべきだ。
複数の戦車で一つの部を作っているガルパンと違い、学校の一つのクラスで一隻の船を動かすというやり方をしているため、個々の戦車の奮闘を応援するガルパンとは異なり主人公の船一隻に強くクローズアップした内容となっている。それが知名度の伸び悩みとなっているのかもしれない。しかし砲雷、航海、主計、機関といった様々な専門家が一つの船を動かすためにそれぞれの才覚を発揮するという、軍艦の魅力の特色を描いている点においては珍しいアニメであり、そういうものを求めているのであれば今すぐに見るべきだ。
これまで軍艦という舞台について焦点をあてて本作を語ってきたが、登場キャラクター達もそれぞれが個性的で魅力あふれる少女たちである。各科長がクラス委員のような立場で艦橋に集まり、艦長をリーダーとして一つのグループを形成している。同時に、砲術科は砲術科のメンバーたちと、航海科は航海科のメンバーたちともグループを形成しており、あるいは科の垣根を超えた交流もあり、少女たちの航海生活は見ていて楽しいものだ。そういった少女たちの青春物としてもこの作品をお勧めする。