リアル / REAL (manga)

リアル / REAL (manga)

『リアル』とは1999年より井上雄彦が『週刊ヤングジャンプ』で連載しているスポーツ漫画。主人公は3人の青年。高校生の野宮は小学生からバスケにのめり込んでいたが、バイク事故を起こし、中退。その時、車いすの青年、戸川と出会う。彼は短距離走の実力ある選手であったが、骨肉腫により右脚を切断する。そして、車イスバスケを通して、目の前の困難と戦っていた。もう1人、高橋久信は野宮と同じ高校のバスケ部に所属していたが、交通事故により下半身不随となる。彼は車イスバスケに熱中し、自尊心の高い自分を変えようとする。

リアル / REAL (manga)のレビュー・評価・感想

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リアル / REAL (manga)
8

井上先生得意の心理描写を堪能

あの有名な「スラムダンク」の作者、井上雄彦先生の漫画です。
同じバスケを扱う漫画でも、こちらは車椅子バスケです。
事故の加害者になってしまった者、事故の被害者になってしまった者、病に侵された者、それぞれが心と体に大きな傷を負い、それによって生じる様々な困難に立ち向かっていく人間ドラマです。
それは突然歩けなくなる、歩けなくしてしまう、という重いテーマも含んでいます。
人生どん底に落ちた時に、どのように浮上したらいいのでしょうか。それはもう、藻掻くだけ藻掻き、苦しむだけ苦しみ、足掻き続けるしかないのかもしれません。
イケメンで何をやってもそつなくこなせる高橋君は人をランク付けする癖があり、そして歩けなくなった自分を底辺に位置付けてしまいます。
少し周りを見渡せば差し伸べられている手があるのに、人間は辛さの渦中にいるととっても視野が狭くなりますよね。
そして「そうじゃなかった」頃の自分と現実を比べて悲観してしまいます。
高橋君のそんなもがく姿が痛いほど理解できますし、同時に「今ある幸せ」を感じる大切さを教えてもらえます。
漫画の中には、今回ももちろん名言がたくさん生まれています。
答えのないこのテーマをリアルという漫画を通じて考えてみませんか?

リアル / REAL (manga)
8

逆境に立ち向かうということ

作者は、井上雄彦さんです。
井上雄彦さんといえば「スラムダンク」ですが、「リアル」はまた違った名作だと思います。

この「リアル」は車イスバスケを通して交わった3人の青年の、葛藤や成長を描いた漫画です。

主人公は戸川清春という青年です。
元々は、全国大会に行けるレベルの陸上選手でした。
しかし、骨肉腫ができてしまい右足を切断します。
こんな事があり暗い時期を過ごしますが、ある時、車イスバスケに出会います。そして車イスバスケにハマり、どんどんのめり込んでいきます。
性格はストイックで我が強く、これまでの人生経験から人と衝突することが多いタイプでした。
ただ、人との出会いや車イスバスケを通じて、自分を見つめなおし、もっと上を目指して行こうと変わり始めます。

そんな清春と出会って変わろうとしているのが、野宮 朋美です。
元々は高校で、競技に真面目に向き合うバスケットマンでした。熱意を持って取り組む野宮をみて、嘲笑うチームメイトと軋轢ができていました。
むしゃくしゃしている野宮はある日、ナンパした女性とバイクに乗っていた時に、事故を起こしてしまいました。さらにその女性が下半身不随になってしまい、その罪の意識に悩まされます。
でも、清春との出会いを通じて、少しずつ前を向こうとしていきます。野宮は目標に向かって努力しますが、それを台無しにしてしまう行動を繰り返してしまいます。
今後どの様な選択をして、人生がいい方向に向かって行けるのか注目です。

3人目が、高橋 久信です。高橋は、容姿、学業、運動全てに優れていて、人を見下すタイプでした。
高校時代、野宮の努力をバカにしていたのが、この高橋です。
そんな高橋は盗んだ自転車で彼女と遊んでいた時に交通事故に遭ってしまいます。そして下半身不随となってしまいました。その事で、何もできなくなってしまった事で、自分が最低ランクの人間になってしまったと考えます。
しかし、周囲の支えや車イスバスケとの出会いを通して、前を向いて進もうとしています。

三者三様の境遇ですが、それぞれバスケットボールというスポーツを通じて、人生に向き合っていきます。
障害も含めて、挫けそうな環境に置かれてしまった人間が、もがきながらも成長していく様はきっと、読んでいる人の背中も押してくれる様に思います。