パプリカ

パプリカのレビュー・評価・感想

レビューを書く
パプリカ
9

所詮アニメではない

「私の夢が、犯されている―」「夢が犯されていく―」をキャッチコピーに冠したアニメ映画、パプリカ。監督は鬼才、今敏だ。アニメ映画というと子供向けとか、道楽で制作されたような印象を受ける人が一定数いるのは事実だろう。そんな人にこそ観てほしいのがこの作品だ。
主人公であるパプリカは、夢を共有する装置"DCミニ”を用いて相談者の夢へと侵入し、深層心理を探る精神セラピスト。ある時、ターゲットが”DCミニ”によって悪夢を見せられ、精神を崩壊させられる事件が起こるようになる。犯人が誰なのか、その目的は何なのか。パプリカは悪夢を終わらせるため、姿なき敵との闘いに挑む。
ストーリーを見て分かるように、この作品は夢や深層心理を扱った作品だ。人間のそれらはたいてい支離滅裂で意味不明、まるで理解できない。ぼんやりと言葉の意味は分かっても、その実体は浅い夢のように常にゆらぐモヤの中にあるように感じられるのではないだろうか。
しかしこの作品では、無意識のうちに存在する思考や錯綜するイメージを映像化することに見事に成功していると私は感じる。素晴らしい映像と平沢進の音楽が高度に調和し、人間の精神の内にある静けさと狂乱をありありと見せつけられる。実写や3DCGではなく、アニメーション映画でなければ表現し得なかっただろう。事件の全容と事の顛末は案外あっけないもので、それもまた妙なリアリティを掻き立てられる。映画を語る上で外せない作品だと言えるだろう。