ご近所物語 / Neighborhood Story

ご近所物語 / Neighborhood Story

『ご近所物語』とは1995年から矢沢あいが雑誌『りぼん』で連載した漫画、及びそれを原作としたアニメ作品である。自分のブランドの店を持つことが夢の実果子。矢澤芸術学院(通称:ヤザガク)でファッションに関する勉強に励んでいる。実果子は幼馴染で同級生のツトムとは友達以上恋人未満の関係。二人を中心に個性豊かなキャラクターたちが、夢のためにどう生きていくか、愛とはなにかなどを学んでいく。大人になる途中の男女が、将来のために何をしていくべきなのかを考えながら成長していく青春恋愛バラエティ漫画。

ご近所物語 / Neighborhood Storyのレビュー・評価・感想

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ご近所物語 / Neighborhood Story
9

愛溢れ、様々な感情に共感:感情学ぶ漫画

矢沢あい著書の漫画『ご近所物語』はとてもお勧めです。主人公の実果子と、その幼馴染のツトムの恋愛物語です。

幼い頃からずっと一緒に居たツトムを恋愛対象から外していた実果子は、専門学生になってから急にモテ出したツトムに苛立ったり、他の女の子と一緒に居るのを見て腹が立ったりするのです。周囲からは好きなのではと言われますが、ツトムを恋愛対象としたくない為、頑なにそれを否定するのです。

一方ツトムは実はずっと実果子を想っているのですが、実果子に対する好意を態度で示すことはあっても、言葉にできないでいます。また、2人が通うのは芸術を生み出す学校です。そこで知り合った友人達と自分達で作った物を売るサークルに入ります。そのサークルに入った事で、互いを好きな感情を再確認する場面があります。

物語が進む中で、様々な事件が起きます。実果子が助けてほしい時や、何でもない時も常に実果子の側に居るのはツトムなのです。特に助けてほしい時や事件の時に頼れるのはいつもツトムな事に気付き、嫉妬をしている事にも次第に気付いた実果子は自然とツトムを好きな相手と認識します。そこから両想いになるまでも楽しんで読めます。
幼馴染みから今更過ぎる恋愛関係に照れてしまったり、幼馴染から恋人としての振る舞いに困惑したり、互いの親に今更付き合ったと言えない等問題が出てきます。

2人の幼馴染から恋人に進展する話が主ですが、登場人物達の恋愛や友情、将来の不安など様々な心情・進展も注目です。色々な事柄に関し、個性豊かなサークルメンバーの心情には読者も感情移入したり、とても共感できたりしますよ。
また、実果子の父親探しを行って再会したシーンは泣けます。更にその後に実果子の父親がとる行動にも泣けることでしょう。

実果子はひねくれた素直でない自分の性格が好きではありません。実果子は「ツトムは私にうんざりしないの?」と思う場面が多々あるのです。読者も、自分を好きになれない時に誰かにそう感じた経験がある人もいる事でしょう。
この漫画は主人公だけでなく様々な登場人物の心情が上手く描かれ、恋愛漫画を越えて、もはやヒューマンストーリーな漫画です。自分を見つめ直す事も描かれていますし、諦めない事や自分の信念を曲げない事等、色々な事柄も描かれています。何よりも様々なキャラクター達の愛情深さがとても良く伝わってくる漫画です。

この作品を読んで色々な愛の形がある事や、自分を客観視する事、諦めない事の大切さ、素直になる大事さ、愛の尊さをとても感じられる、生き方の教訓になる様な感情溢れたストーリーがたまりません。
愛情の本質が分かる作品ですし、自分を俯瞰するきっかけになると思います。

愛ある登場人物達に涙する場面も、コミカルな面も多い為楽しく読めます。最高の漫画だと思います。自信を持ってオススメします。読んだことのない、あなたに是非読んで貰いたい作品です。より、豊かな感情が持てるでしょう。

ご近所物語 / Neighborhood Story
8

時代が変わっても色褪せない!オシャレと恋愛の教科書

少女漫画にありがちな、「顔は普通なのになぜか異性の人気を集めてしまう、天真爛漫でちょっと天然な主人公には感情移入しにくい!」という人も多いのではないでしょうか。
本作の主人公・実果子は嫉妬深くて意地っ張りで、つり眉で、友人にも異性にもつい余計な一言を放ってしまって自己嫌悪に陥る…。そんな、誰しもが思春期に経験した失敗を詰め込んでしまったような不器用なキャラクター。
でも、ファッションデザイナーになるという夢を追いかけて一生懸命に奔走する、そんな姿が健気で可愛らしく思えて、思わず応援したくなります。

登場人物一人一人は、「こんな10代いる?!」と突っ込みたくなるほど個性的なキャラクターばかりですが、リアリティのある心理描写はさすが矢沢作品。
恋愛の綺麗な部分だけではなく、ジレンマに悩まされる瞬間が丁寧に切り取られ、テンポよく展開されていきます。
自分の気持ちをうまく伝えられない。彼女のいる人を好きになってしまった。恋人がいるのに不安な気持ちから他の人に甘えてしまう。恋愛と夢とを天秤にかけなければいけない…など、「恋愛あるある」のシチュエーションが盛り沢山。

そして、どんどん可愛く格好良くなっていくキャラクターたちが本当に愛おしく思えるからこそ、その想いがぶつかる場面では胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになります。
恋愛を夢見る少女にも、まさに恋愛中のあなたにも、恋愛を引退した大人の方にもおすすめできる作品です。

ご近所物語 / Neighborhood Story
10

私のバイブル、ご近所物語

私がマンガ「ご近所物語」を読んだのは高校生の頃です。当時は矢沢あいの絵やファッションなどに興味を持ち、作品よりはビジュアル重視で読んでいました。しかし、大人になってからも私の中に矢沢あい作品は常に心にありました。
ご近所物語は、主人公の学生生活の青春や幼馴染との恋愛事情、家族との絆などの物語がコミックにするとたったの7巻。ですが、中身が濃すぎて読んでみてほしいとしか、いいようがありません。時代や年齢を問わずにおススメできます。大人になってから読むと一々きゅんとしたりドキドキしたり、忘れていた純粋な気持ちを思い出させてくれます。夢を諦めようとしている人にも是非読んでいただきたいです。自分の心に素直になれる、そんなコミックです。
わたしには娘がおりますが、もう少し大きくなったらわたしのご近所物語を譲りたいと思っています。娘がこの物語を読んで何を思うかはわかりませんが、誰も教えてくれないであろう、自分で感じる何かを教えてもらえる物語だと信じています。もし、それで何も感じなければ他の矢沢あい作品をおススメしてしまうと思いますが。
矢沢あい信者です。矢沢あいはわたしの人生のバイブルです。アラサーですが、この歳になってもわたしに勇気を与えてくれる作品です。