エイリアン / Alien

エイリアン / Alien

『エイリアン』とは、1979年に公開された『ブレードランナー』や『ハンニバル』などで知られるリドリー・スコット監督の、SFホラー映画の元祖ともいえる作品だ。監督の出世作でもあるが、主人公のリプリーを演じたシガニー・ウィーバーの名を、世界中に広めた映画でもある。
宇宙船に入り込んだ姿を見せないエイリアンが、次々と乗組員を襲っていくホラーSF映画で、エイリアンという名称を定着させたことでも知られる。
その後もシリーズ化されるなど、映画界に衝撃を与えた作品だ。

エイリアン / Alienのレビュー・評価・感想

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エイリアン / Alien
8

それまでCM監督だったリドリー・スコットがメジャーデビューを果たした古典的SFホラー映画『エイリアン』

『エイリアン』は1979年に公開されたSFホラー映画の古典であり、監督はリドリー・スコットが務め、主演女優のシガニー・ウィーバーは本作での成功で名前を売りました。
「狭苦しくて暗い宇宙船の中で、得体の知れない異星人と戦う」というストーリーラインのフォーマットはその後の類似作に踏襲されることになりました。
映画原題の「Alien」の本来の語義は「外国人」ですが、本作以降は「異星人」の固有名詞として広く流通することになりました。
初回公開時の映画のコピーは「In Space No One can Hear your Scream.」で、「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない」と訳出されました。
攻撃的な異星人のデザインは、スイスの有名デザイナーであるH・R・ギーガーに委嘱されました。
ギーガーはシュルレアリスム系の作風を特徴としていて、本作で一躍有名になったおぞましいフォルムを持つエイリアンを造形しています。
ちなみ本作以降『エイリアン2』が製作されていますが、こちらの監督はリドリー・スコットではなくて、ジェームズ・キャメロン。ミステリーよりもアクション大作として仕上がっています。
『エイリアン』は惑星間宇宙船を舞台に設定されたお化け屋敷的なストーリー展開の古典的なスリラー映画と評されることもあり、恐怖映画の常套手段を墨守しながらも、斬新な視覚イメージでSF作品として攻めたところに監督リドリー・スコットの非凡な力量を見る評者もいます。

エイリアン / Alien
8

トラウマもの

未知の生命体が顔に張り付く描写だとか、腹を突き破って出てくるとか、トラウマ描写の多い作品だったなと思います。腹を突き破るのとか、見ていられませんでした。エイリアンが地球に攻めてくるというのも怖いですけど、宇宙船の面々が襲われるのは、逃げ場がない恐怖があるなぁと思いました。大体の人が殺されたり、繭にされたりして、一人しか生き残らないというのもびっくりです。今はそういう話もたまにありますが、すごい思い切ったなと思いました。そして、エイリアンの頭の形が露骨というか、なんか全体的にエロい雰囲気のある作品だと思います。エイリアンも人を殺すというか、人を使って繁殖するのが目的みたいだし、犯されているみたいな雰囲気もあって、なおさら怖かったです。エイリアンはこの監督さんの代名詞みたいになって、ここから何作も続いていきますが、やっぱり1が好きだなあと思います。このときから続編は作るつもりだったのでしょうか。それはわかりませんが、設定とかは細かく決めてそうでした。シガニー・ウィーバーもまだ若く、綺麗で強そうでいいなと思いました。シガニーのドキドキしている顔を見ると、こちらもドキドキします。臨場感たっぷりの作品でした。

エイリアン / Alien
10

エイリアン

宇宙では悲鳴は聞こえない、このうたい文句につられて観に行きました。その時の衝撃は今も忘れません。今はなくなったテアトル東京という日本一の映画館で見た時の恐怖と衝撃、映画の面白さ、エレン・リプリーの勇気強さ、聡明さに感動。初めて見たエイリアンのおぞましさ凶悪さ不気味さ、ギーガーが作り出したエイリアンの姿形、ギーガーの頭の中はどうなっているのでしょう。まさに天才の閃き。救難信号をキャッチした船がある惑星に不時着。乗組員が探索に出る。何とも不気味な惑星である。不思議な生物を船内に持ち帰り調べようとしたのだが、ものの見事に失敗、生物は船内に逃げて行方不明。船員たちは恐怖の中に叩き込まれた。一人一人殺されていく悲惨な形で、人類が出会った最恐の生物。一人生き残ったリプリーとエイリアンの死闘が始まる。ハラハラドキドキ、映画館は悲鳴のるつぼ。日本の観客はおとなしいといわれているが、この映画は悲鳴の連続で見終わってグッタリ。ラストは言わぬが花、不気味さを残して映画は終わる…この1作でリドリー・スコツトは世界的な監督に、シガニー・ウイーバーも一躍スター女優に駆け上がった。これ以降リプリーとエイリアンの死闘は果てしなく…リプリーとエイリアンの決着が観たい。

エイリアン / Alien
9

SFホラーの金字塔とハリウッドホラーの原典

SF映画はB級作品である。そんな常識を覆したのは、『スターウォーズ』や『未知との遭遇』など数々の名作映画であった。そして、それら二つの作品と双璧を成したのは、リドリー・スコット監督作品の『エイリアン』であった。SF+ホラーというのは1970年代から1980年代にかけてのハリウッドにとって非常に画期的なアイデアであった。閉鎖的な宇宙船という空間の中で、謎のエイリアンによる襲撃を受け、次々と殺されていくクルーたち。クルーの中にも狂気に呑まれ、仲間に危害を加えようとする極限の緊張状態。人類の英知も、武器も、技術も通用しない外敵(エイリアン)とたった一人生き残った乗組員との絶望的な戦い。このような人間の得体の知れない存在への恐怖感、不安感を煽り立てた映画は今までになかったと言える。
そして、今作のエイリアンは、画家H・R・ギーガーが「ネクロノミコンⅣ」で描いた、黒と気色の悪いフォルムを持つ謎の異形存在がモデルになっている。この「ネクロノミコン」は、ハワード・フィリップ・ラブクラフトの「クトゥルフの呼び声」というシリーズに出てくる怪文書であるが、ハリウッドのホラー映画は『死霊のはらわた』や『遊星からの物体X』、そしてこの『エイリアン』と、多くのホラー作品がクトゥルフシリーズに由来しているため、他作品とのクロス要素も必見である。