第四の核

第四の核のレビュー・評価・感想

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第四の核
8

冷戦末期の英国を舞台に繰り広げられる東西スパイ合戦の顛末をスリリングに描いた渋い作品『第四の核』

『第四の核』は1987年に公開された英国の冷戦スパイ映画で、主演はマイケル・ケインとピアーズ・ブロズナン。監督はジョン・マッケンジーです。本作はフレデリック・フォーサイスが1984年に発表した同名の小説を原作としています。1987年冬、ソ連時代。タカ派のKGB議長ゴボルシンは、西欧とアメリカを分断させる「オーロラ計画」を実行に移すことを決断します。それはイギリスで反核運動を刺激し、総選挙の期間中に英国内の米軍基地で核爆弾を爆発させ、それによって選挙で反核を強く訴えていた労働党に浮動票を取り込ませて親ソ政権を樹立させ、西欧とアメリカを分断させるというものでした。KGBは工作員のアレクセイ・ペトロフスキーを実行役としてロンドンに送り込みます。彼はスーツケースサイズの核爆弾を数回に分けて英国内に持ち込み組み立てるミッションを帯びていたのでした──。映画は商業的に成功を収めています。その理由の一つは初心者にも理解できる入門的な娯楽作であることを挙げる批評家もいます。「真に受けるべき深刻さをはらんでいない」とも。また主演のピアーズ・ブロズナンも「蛇の体温を保つ暗殺者」の役を好演しており、背筋をぞっとさせると評されています。共演者のマイケル・ケインの演技も賞賛の的になりました。