ボーイズ・ドント・クライ / Boys Don't Cry

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ボーイズ・ドント・クライ / Boys Don't Cryのレビュー・評価・感想

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ボーイズ・ドント・クライ / Boys Don't Cry
9

常識とは何か?

今でこそジェンダーレスという言葉が一般的になり、ゲイやレズビアンに大きな抵抗はなくなってきているが、この映画の時代である1993年にはまだ同性愛やトランスジェンダーにはかなり差別的な評価がされていた。
主人公は体が女性で、女性のことが好きなトランスジェンダーだ。
常に男性であるように見せて、友人たちも男だと思って接している。
だが、ある女性と恋に落ちてしまうことで、主人公が女性であることがばれてしまう。
周りの大人や友人たちは、トランスジェンダーという今までの常識から考えられないことが起きたために、人間らしからぬ行動に出始める。
本作品が素晴らしいのは、このトランスジェンダーという題材を使うことで人間の弱さを表現しているところである。
人間というのは、現状に依存したがる生き物であり、自分の中にある常識という部分を否定されたくないとどこかで思って生きている。
そして、集団行動をとることで、身の安全を維持している。
まさに主人公は、世論からかけ離れた考えだと理解していたため、男の格好を常にして、友人たちに本音を明かせずにいた。
そして友人たちは、トランスジェンダーという常識外れの出来事を受けいれられず、非人道的な行為に走っていく。
かなり暴力的な表現が含まれた作品だが、人の弱さ、そして常識とは何かということを深く問いかけてくる。
常識なんて時代によって変わるし、人に依存せず、いつでも自分の判断で進んでいくべきだと考えさせられる作品です。