非情の罠 / Killer's Kiss

非情の罠 / Killer's Kissのレビュー・評価・感想

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非情の罠 / Killer's Kiss
8

初期キューブリックの才能が従前に華開いた監督第2作『非情の罠』

『非情の罠』は1955年に公開された米国の暗黒映画で、監督はスタンリー・キューブリック、脚本はキューブリックとハワード・サックラー。本作はキューブリックの監督第2作目であり、第1作『恐怖と欲望』に引き続くものです。出演は、ジェイミー・スミス、アイリーン・ケイン、フランク・シルヴェラ。
映画はディヴィー・ゴードン(ジェイミー・スミス)という29歳のニューヨークのボクサーの経歴の終わりを扱っており、隣人のタクシー・ダンサーのグロリア・プライス(アイリーン・ケイン)と彼女の暴君的な雇い主ヴィンセント・ラパロ(フランク・シルヴェラ)との関係も描いています。
公開時には『ヴァライエティ』誌には早速映画評が掲載されました。それは「『ルック』誌の元写真家スタンリー・キューブリックは低予算で完成させた。『非情の罠』はキューブリックの監督デビュー以上のものである。彼は共同製作しただけでなく、監督・撮影・自身の脚本からの冒険譚の編集、独自の脚本の執筆までもやってのけた。キューブリックが好むローアングルのレンズはニューヨークの生活の裏側を捉えている。けばけばしいブロードウェイ、薄暗いアパートメント、マンハッタンのイーストサイドのロフト街を構成するモノクロのビルーキューブリックの描き出すこのような情景は、脚本の欠点を補ってあまりある」という意味深長な評価でした。