ノケモノたちの夜

ノケモノたちの夜のレビュー・評価・感想

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ノケモノたちの夜
10

孤独な魂の交響曲?悪魔と少女の常夜奇譚?

『ノケモノたちの夜』は、19世紀末の大英帝国を舞台に、孤独な魂たちの交流を描いたアニメです。この作品は、悪魔と少女という異色のコンビが織りなすダークでロマンティックな物語で、視聴者を魅了します。

物語の中心には、救いを求める悪魔と、彼の暇潰しとなる少女がいます。彼らの出会いは、互いの孤独を分かち合い、居場所を探す旅へと発展します。この常夜の世界では、彼らの関係性が徐々に深まり、互いにとっての意味と存在の価値を問い直すことになります。

アニメはその緻密な背景描写と、時代を感じさせる衣装デザインで、19世紀末の雰囲気を見事に再現しています。また、キャラクターたちの心理描写は非常に細かく、彼らの内面の葛藤や成長が丁寧に描かれています。
視聴者は悪魔と少女の奇妙な関係を通じて、人間とは何か、そして人間らしさとは何かという問いに直面します。このアニメは、ただのエンターテイメントを超え、視聴者に深い思索を促す作品です。ダークな物語の中にも、希望の光が見え隠れし、最終的には心温まるメッセージを残します。

『ノケモノたちの夜』はアニメファンにとって必見の作品であり、その独特な世界観と深いメッセージ性は、多くの人々の心に残るでしょう。悪魔と少女の常夜奇譚は、私たちにとっての「居場所」とは何か、そして真の救いとは何かを考えさせる忘れがたい物語です。

ノケモノたちの夜
8

19世紀ロンドンを舞台とした、「ノケモノ」たちの逃避行の物語です。

19世紀ロンドンを舞台に、不老不死の大悪魔マルバスと身寄りのない少女ウィステリアが出会い、逃避行をする物語です。
日々物乞いをしては飼い主に虐げられていたウィステリア。伯爵家として英国王室に仕えていたものの、家ごと粛清され家族全員を失ったダイアナ。負傷兵として居場所を失い、周りから腫れ物扱いされていたルーサー。いろいろな事情で社会の「ノケモノ」となった彼らが織り成す群像劇です。
悪魔狩りを生業とする退魔組織「剣十字騎士団」にはウィステリアの兄スノウが所属しており、その上司はなんと幕末の日本人。いつも鎧と謎をまとった騎士団の団長はとんでもなく有能で、終盤ではウィステリアやマルバス達とも共闘する柔軟さは「理想の上司」かもしれません。そして、物語のあちこちに見え隠れする「三ツ目の悪魔」の謎。
また、注目すべきはかの有名なシャーロック・ホームズ。スノウの戦友として登場するワトソンと共に、物語にさりげなく関わってきます。偏屈っぷりもしっかり描写されつつ人間味も見せる作者の手腕はなかなかのものだと思います。
残念ながら8巻で完結してしまいましたが、最後にちりばめられた伏線を少ない話数で見事回収しているところも必見です。