アンタッチャブル(映画) / The Untouchables

アンタッチャブル(映画) / The Untouchables

『アンタッチャブル』とは、1987年にアメリカで制作されたアクション映画。禁酒法が敷かれた大都市シカゴを舞台に、酒の密造と密売で莫大な利益を得るギャング、アル・カポネに敢然と戦いを挑む4人の男たちの姿をロマンあふれる演出で描き出していく。『ボディガード』で知られるケビン・コスナー、『007 ドクター・ノオ』で知られるショーン・コネリーが出演した。
監督は『殺しのドレス』や『カジュアリティーズ』などで知られるブライアン・デ・パルマが務めた。

アンタッチャブル(映画) / The Untouchablesのレビュー・評価・感想

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アンタッチャブル(映画) / The Untouchables
9

パラマウント映画創立75周年記念映画として製作された、ハリウッド大作

悪法で名高い「禁酒法」ですが、正しくは「酒類製造・販売・運搬等を禁止するという法律」という名称です。
つまり、お酒を造ること、売ること、運ぶことだけが禁止された法律であって、お酒を飲むこと自体は、禁止されていなかったということがわかります。

また、施行されるまでに1年の猶予があったため、人々はお酒の買いだめに走りました。
施行後、家でお酒が見つかっても「買いだめしておいた分です」と言えば、罪に問われなかったというのですから、ザル法もいいところです。
お酒の密輸入と密造で大儲けしたのは、ギャングたちだけだったのです。

この天下の悪法の施工時代に、世にもデカイ顏をしてシカゴの街でのさばっていたのが、暗黒街の帝王、アル・カポネです。
彼がネタになっているギャング映画は、それこそ星の数ほどあるのではないかと思われるくらい、凄い人気です。

このパラマウント映画創立75周年記念映画として製作された、ハリウッド大作「アンタッチャブル」では、ロバート・デ・ニーロがアル・カポネを演じています。
役作りのために、逆ダイエットをして太ったというエピソードはあまりにも有名です。
そして、首を傾けてしゃべる、独特の姿も強烈なインパクトがあります。

映像の魔術師、ブライアン・デ・パルマが監督をしているので、事実なんてどこへやら、徹底した娯楽アクション・ギャング映画に仕上がっています。
こういうのはあざとくて嫌いだという人もいるかも知れません。だが、それはハリウッドメジャー大作映画の宿命ともいえるものですが、私は大好きですね。

有名な駅の階段のベビーカーのシーンは、ハラハラ、ドキドキの連続で、ブライアン・デ・パルマ監督の楽しそうに撮っている顏が想像できますね。

そして、何と言っても魅力的なのは、当時、とても輝いていた主演のケヴィン・コスナーです。
絵に描いたような正義の味方。あまりにも嘘っぽくてため息が出そうですが、これぞまさに娯楽映画なんですね。

事実に基づいているとは言っても、彼の演じるエリオット・ネスは、映画のヒーローであり、架空の人物だくらいに思わないと駄目ですね。
史実と違うからおかしいじゃないかと決めつけるのは、ちょっと筋違いだと思いますね。
とにかく、カッコいいんですね。

それから、思わず注目してしまったのは、殺し屋のニッテイ(ビリー・ドラゴ)です。
とても陰険な顔つきの風貌で、目つきがとても怖いんですね。

もちろん、ショー・コネリー扮するジム・マローンも最高ですね。その年のアカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞しただけのことはありますね。
このジム・マローンは、FBIのリーダー的存在で、エリオットのみならず、観ている我々もグイグイ引っ張ってくれます。
ジェームズ・ボンド役を卒業した後の、ショーン・コネリーの演技に対する取り組みと研鑽が、一気に花開いたという感じですね。

今回、あらためて観直してみて、この作品はギャング映画の最高峰のひとつだと思いましたね。
エンニオ・モリコーネの音楽も素晴らしくて、この人の書くスコアは、映画の雰囲気にほんとにぴったりで、哀愁のあるメロディーを聞いているだけで感動してしまいます。

アンタッチャブル(映画) / The Untouchables
10

マフィアとの戦いに身を投じた4人の捜査官の物語

禁酒法時代、マフィアが力をつけ裏取引で莫大な富を稼ぎ出し、自分たちと敵対するものは徹底的に抹殺するほどの強大な力を持っていた。そこへエリオット・ネスが部下を4人スカウトして、犯罪捜査チームを作る。強い正義感と何が何でもマフィアを立件するという強い意志が必要だ。生ぬるいやり方では通用しないので、銃も使うし荒っぽい捜査もする。エリオット・ネスは徐々に成果を上げ始めるが、取引に応じなかったため、仲間を一人、また一人殺されてゆく。仕事に命を懸ける男の姿は美しい。仲間を殺されて感情をむき出しにアル・カポネにくってかかるところなどは圧巻だ。また衣装も見どころで、全部ジョルジオ・アルマーニが担当している。スーツのパンツのシルエットなどがとてもかっこいい。殺し屋の白いスーツもよかった。
アル・カポネ逮捕後チームが解散した際、生き残ったストーン刑事に記念だと4人全員が映っている写真を手渡す。大きな仕事をやり終えた男たちの誇りの写真である。実話をもとに作られているが、こんな男たちが本当に実在したとは驚きである。アメリカは組織が強大な権力と力を持てば、それを制御するため対抗勢力が必ず現れる、社会の自浄作用ができている国だと思う。今のアメリカに一番必要なものではないだろうか?