シアラ / Ciara

シアラ / Ciaraのレビュー・評価・感想

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シアラ / Ciara
7

クランクのバッドガールから実力派R&Bアーティストへ

HIP HOPのサブジャンルのひとつである、クランク。2000年代前半に興隆を見せ、アッシャーが2004年に「Yeah!」で取り入れるなどして、ブームとなったサウンドです。
そのような中で、大々的にクランクを謳って登場したシアラ。女性R&Bアーティストでは初ということもあり、はじめは流行りのクランクの女の子という印象が強かったです。また、南部HIP HOPのワイルドなイメージ、細身で長身の美貌、クールな歌声などがかっこよく、フレッシュな才能を感じさせてもいました。デビューシングル「Goodies」は最高にクールな名曲となっているので必聴です。
そんなクランクの恩恵を受けてヒットしたシアラですが、その後はクランクの冠は忘れ去られ、正統派なR&Bアーティストとして勝負できる力を発揮していきます。2006年の2ndアルバム『The Evolution』からのシングル「Promise」はスイートなラブソングとなっており、シアラの歌唱力やソングライティング能力が堪能できます。
「Like a Boy」のミュージックビデオでは男役を踊ってみせるなど、チャレンジングであり、ダンスの腕前も相当なもの。2009年の『Fantasy Ride』からはジャスティン・ティンバーレイクを客演に招いた「Love Sex Magic」がヒット。刺激的なサウンドに乗ってセクシーに攻めています。エレクトロニックなダンスチューンもイケることを証明しました。
「Promise」に続くラブバラードとして、2012年にリリースされたシングル「Sorry」でもまた、素晴らしいボーカルを聴かせています。クールなプリンセスから、成熟したアーティストへと変貌を遂げていくシアラ。うまくいかなくなっていく関係に対して声を張り上げるフックには感動。
5thアルバムの『Ciara』には自身の名をタイトルにしただけあり、自信を感じさせられます。なんと言っても、シングルカットされた「Body Party」が文句なしのR&Bチューン。Gost Town DJ'sによる96年のHIP HOPクラシック、「My Boo」が大胆にサンプリングされ、売れっ子のMike Will Made Itがプロデュースしています。自信に溢れたゴージャスな出来で、シアラの才能が上り詰めるのを感じました。