大戦隊ゴーグルファイブ

大戦隊ゴーグルファイブのレビュー・評価・感想

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大戦隊ゴーグルファイブ
7

全共闘世代の戦隊

シリーズ6作目となる本作は前作「サンバルカン」からメインライターが大きく変わり、それに伴ってか舞台設定やテーマ、ビジュアルも一新されています。
本作の世間的な評価は「テンプレ戦隊」「没個性で面白味がない」という評価が目立ちますが、しかしよくよく見直してみると、実は「未来科学(正しい科学)VS暗黒科学(間違った科学)」というテーマが掲げられており、これは次作「ダイナマン」以降の曽田博久メインライター戦隊の礎になります。
その上で本作はいわゆる「全共闘」が実は実現しており、歴代でも数少ない「指揮官(司令官)不在の戦隊」なのです。
司令官不在の戦隊は他に「フラッシュマン」「ライブマン」「タイムレンジャー」位ですが、その先駆けとなった戦隊です。
実際にメンバーの選ばれた基準も一応説明されますが、しかし戦いを決意するか否かはあくまで個人個人の判断に委ねられており、指揮官不在の中五人だけで戦うというリスクを常に孕みながら戦うことになります。
そして、それが一番顕著に出たのが紅一点の桃園ミキです。
お世辞にも戦士として強いとは言えない華奢な肉体と清純可憐を絵に描いたような正確の彼女はデスダークの戦いで何度も負傷し、終盤では絵本の中に閉じ込められ、火であぶられながらも一人苦しみ抜いて戦います。
そして、それを乗り切った先、彼女は「ゴーグルファイブは永遠に不滅よ!」と宣言します。
ここに戦隊ヒロイン不滅、そして戦隊シリーズの不滅を謳った彼女の姿があればこそ今日の戦隊シリーズの姿があるのだとも言えます。
とはいえまだまだドラマの面では詰めが甘く、モチーフの新体操なども盛り込めてるとは言い難いので、それは次作「ダイナマン」に委ねられますが、「デンジマン」の基盤を継承しつつ「自主性に基づく戦い」という、上原正三メインライター戦隊とはまた違った戦いの形にシフトしていきます。