オール・セインツ / All Saints

オール・セインツ / All Saintsのレビュー・評価・感想

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オール・セインツ / All Saints
8

クールで爽やかなイギリスの女性ボーカルグループ

女性ボーカルグループとしては珍しく、非常にクールで爽やかな曲調が特徴のオール・セインツ。

イギリスのロンドンで結成され、1997年にデビューしました。
キラキラした派手さはあまりなく、そこまでポップではないにもかかわらず、ヒットを生み出し、90年代の主要グループとなります。
彼女たちの硬派で洗練された曲がそこまでの魅力を持っていたということでしょう。
また、セインツという言葉が聖人を表すように、困難の中から希望を見出そうとする歌が人々の心に響いたのかもしれません。

ファースト・アルバムの『All Saints』はヒップホップ・ソウルをアーバンに仕上げた傑作。
シングルカットされた「Never Ever」は祈るように響く、美しく力強い曲です。

そこからセカンドアルバムになると、エレクトリックなサウンドが主となり、ダンスミュージックとしての色が濃くなります。
タイトルは『Saints & Sinners』。
つまり聖人と罪人。
確かに心なしか、清廉なファーストアルバムと比べるとビターな印象に。
こちらは2000年のリリースで、シングル「Pure Shores」が圧倒的な人気を誇っています。
マドンナのプロデュースを手掛けたウィリアム・オービットがプロデュースをしており、まるで水の中にいるようなアンビエント・ミュージックはオール・セインツとぴったりの相性となりました。
また、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』のサウンド・トラックとしても起用されています。
同じくウィリアム・オービットがプロデュースしたシングル「Black Coffee」もエキゾチックで素敵です。

そこからしばらくの間、キャリアは低迷し、解散・再結成を繰り返しますが、2016年に『Red Flag』で復活。
メンバーが離婚を経験するなどして、様々なことを乗り越えてきた、大人の女性となって成熟した面が見られます。
時を経てもオール・セインツらしさは失われず、さらにパワーアップ。
クリアに強く響くドラムの音が毅然とした印象です。