ここは今から倫理です。 / ここ倫

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『ここは今から倫理です。』とは、雨瀬シオリによる漫画作品。集英社の雑誌『グランドジャンプPREMIUM』で2016年11月号から連載が開始された。高校で倫理科を受け持つ教師・高柳(たかやなぎ)が、様々な悩み・不安を抱える生徒たちと向き合い、問題を解決に導いていく様子が描かれている。自傷行為、違法ドラッグ、DV、いじめ、一方的な性行為など、社会を取り巻く諸問題に切り込んだ作品として大きな話題になった。2021年1月には山田裕貴主演でドラマ化もされ、反響を呼んでいる。

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ここは今から倫理です。 / ここ倫のレビュー・評価・感想

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ここは今から倫理です。 / ここ倫
10

過去の自分に読んでもらいたい作品

高校を舞台に、多感な生徒たちと主人公の倫理教師のお話。
倫理とは何か、生きるとは何か。人生を歩むうち、誰もが必ず一度は思い浮かべる疑問や悩みである。それを受け止め、主人公独自のやり方で解明していく様はよい意味でなかなか考えさせられる。

倫理とは概念であり、各々人の数だけ答えがあるのだろう。しかしそれをひとつひとつ丁寧にひも解いてみると、実はシンプルであったり、それでもやっぱりどこか複雑であったり。もはや明確な正解など無いのかもしれないが、少なくとも「より良く生きる』事は出来るのかもしれない。

もちろん正論ばかりではないし、この主人公でも解決できない疑問はある。人には誰しも得て不得手が存在し、完璧ではない。主人公もまた、「より良く生きる」とは何かを模索している。
なのでたとえ出来ないからといって曖昧に答えるのではなく、生徒たちの「悩みを打ち明ける」という勇気に真剣に向き合い、己の力不足を痛感しながらも他の人に託す事もする。

全ては疑問や悩み、不安を打ち明け、そしてそれを受け止めて一緒に向き合ってくれる人があってこそ。
この作品はかつて置き去りにしてしまった、もしくは今も尚、胸の中に燻っている読者の疑問や悩みさえも解決してくれるような1冊である。

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9

社会人こそ読んでほしい漫画

[「倫理」とは人間の道であり、道徳の規範となる原理。]
社会の仕事にまず役に立たない「倫理」。しかし、今を生きている方なら物語中の言葉が刺さります。
なぜなら経験していること、経験してきたことがテーマとなり得ているからです。
今はっきりと夢を語れますか?学生の方もどうでしょうか?
社会人となった私は、恥ずかしながら小学校の時には言えていたものが言えなくなっていると自覚があります。
いくつもの箱の中に閉じ込めてきたものをひとつひとつ開いていく、そんな感覚を得られます。
作中登場人物の倫理教師高柳先生は、見た目は無感情でクールな方と思いきや、たまに動揺したり人間らしい感情が出せる人物です。
そして何よりも不思議と頼れる人物です。
この作品はオムニバス形式で、一人一人違うテーマで述べられており、
一人ぼっちの時、人間関係がうまくいかない時など社会にでたら直面する数々の問題に物語として向き合っていきます。
良い先生ではないけれど、こんな先生がいたらと思わせてくれる作品です。
高校の時、高柳先生のような先生がいたら授業を受けていたと思います。
(余談ですが、私は習っていた教科が現代社会で、倫理は独学により勉強したから余計にそう思います。)
社会にでて心がしんどくなったとき、大人の道徳として一読いかがでしょうか。

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10

考えさせられる

高校倫理の教師が「倫理」という授業を通じて生徒と向き合う漫画です。
ところどころ哲学者の言葉が出てきます。例えば「誰もが自分の視野の限界を、この世界の限界だと感じている」byセーレン・キルケゴール(間違ってたらすみません)など。それらの哲学者の言葉は、とても心にくるものがあります。高校倫理や哲学に興味がある人には特におすすめです。
登場する生徒は、犯罪や非行、問題児なども登場します。性表現や暴力シーンが苦手な人にはおすすめできません(まあ、大した描写ではないですが)。学校ものですね。はい。2021年6月の段階で6巻まで出ています。なお、最近気づいたのですが、表紙のカバーを外してみるとカバーイラストの撮影?をしているときの、高柳先生(この漫画の主人公)の撮影裏話?的なことの描写があります。(例)ふふ、つい笑ってしまいました など。
私自身、最近哲学や高校倫理に興味を持っており、「キルケゴール」、「ホモ・ファーベル(工作人)」などの高校倫理・哲学のキーワードが出てくるととても親しみを感じて、興奮してしまいます。大学は哲学科に進んだ学生に読ませたら、どんな反応するのか少し気になります。もしかしたら、もう少し突っ込んだ話が聞けるかも。と、考えてしまいます。

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