喧嘩ラーメン

喧嘩ラーメンのレビュー・評価・感想

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喧嘩ラーメン
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意外と内容濃い目!? 喧嘩ラーメンの秘密

『喧嘩ラーメン』。まずそのタイトルに強烈なインパクトがあると思います。このタイトルには2つの意味があります。主人公義経(よしつね)はラーメン屋の息子でありながら暴走族の総長です(昭和の漫画にありがちな設定)。義経は際立ってラーメンが好きなわけでもなく専門的な知識があるわけでもないのですが、あることをきっかけに日本一のラーメン屋を目指す志を持つほど大きく成長します。
喧嘩ラーメンの1つ目の意味は、義経が作るラーメンと他のラーメン職人たちとのラーメンバトルを意味しています。義経は伝説のラーメン職人牛嶋と出会い、自分の作るラーメンでいつか牛嶋を超えてみたいという思いから地元をひとり飛び出し、ラーメン修行の旅にでます。その道中で様々なラーメン職人と出会い、自分だけのオリジナルラーメンを完成させたり、潰れかけのラーメン屋を救ったりと日々ラーメン修行に明け暮れますが、ふと最後に越えなければない存在が誰であるかに気付きます。それが喧嘩ラーメンの2つ目の意味にもなるのですが、越えなければならない存在は他でもない自分の父であったのです。喧嘩とは親子喧嘩のことを指していたのです。幼くして病気で母を亡くした義経はラーメンのことばかり考えている父に嫌悪感を感じていました。しかしその反面父のラーメンにかける情熱、本気で取り組む姿勢に尊敬の念も捨ててはいなかったのです。

義経は最終的に父と戦うことを目標としていましたが、不慮の事故によりラーメンを作ることができなくなった父に代わり、その弟子牛嶋と戦うことになります。

この作品はタイトルのインパクトさながら、しっかりとラーメンの基本的な知識に触れたり、シンプルな話の流れ方(ラーメンオタクじゃないと読めないなんてことがない)で書かれているので、読みだすとあれ?もう最終回?というぐらい時間があっという間に過ぎてしまいます。

土山しげる先生の作品はシリアスな場面からいきなりギャグに入ったり、と思ったら全然違う展開になったりと終始あきることがありませんので、喧嘩ラーメンもぜひとも気軽な気持ちで読んでみてください。

ちなみに私は博多VS久留米編が大好きで、たぶん30回以上読み直しています(笑