嘘を愛する女

嘘を愛する女のレビュー・評価・感想

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嘘を愛する女
7

キャスティングがすごくいい

身元について嘘をついていた男が高橋一生で、そんな彼と5年も一緒だった気の強い女が長澤まさみで、探偵が吉田鋼太郎、なんてぴったりなキャスティングなんだと思います。
自分の恋人がほんとは誰なのか探ろうとするのは、誰にだって隠したい過去はあるだろうからちょっとなあとも思うけど、そりゃあ気になるし、このまま目覚めないかもと思えば調べて当然泣きもします。どうして、彼が嘘をついていたのか、定かではないけど、本当に辛くて別人になりたかったのかもしれません。でも、だから過去に囚われていたってわけでもなくて、今は彼女との未来を考えていて…てラストが良かったです。なんか後味の悪い終わりになるのかなと思っていたから前向きな感じでいいと思いました。
話はよくある話でそこまで驚くような話ではなかったですが、女が最後には男の愛に気が付くところがいいと思います。
長澤まさみさん演じる女性はちょっと自分勝手でイライラさせられたけど、それはそんな女性なのに受け入れてくれていたっていう伏線でした。人から言われて、自分がどれだけ愛されていたか気が付くってこともあると思います。ちょっとありきたりかなって気もしますが、面白かったです。

嘘を愛する女
10

長年一緒にいた恋人の素性は偽りであった。愛する気持ちさえ嘘なのか?

川原由加利は大手食品メーカーに勤務するキャリアウーマン。仕事は順調で、同棲5年目の彼氏である小出桔平も医学研究員というエリートである。
桔平は掃除や料理といった作業が得意で、家にいて由加利の面倒を見たり家事をしてくれている。
由加利は公私ともに順調で、その姿は女性にとっても理想の姿。
ある日由加利は自分の母親に桔平を合わせようと考え、レストランで3人で食事しようと誘う。
今まで由加利の母親に会うのを渋っていた桔平も、ついに会うことを承諾する。
しかし、約束の時間になっても桔平は現れなかった。約束を破られて激怒している由加利の元に警察が来る。
なんと、桔平がくも膜下出血で倒れ病院に運ばれたのだ。しかも、桔平が持っていた身分証明書や医師免許は住所以外はデタラメで偽装されたものだと発覚した。
桔平が働いているはずの病院に確認しても、小出桔平という人物は勤務していないと告げられる。彼の名前も職業も全て偽りだったのだ。
由加利は絶望に打ちひしがれ、桔平の荷物を全て処分し、桔平と別れようとするが彼を愛していることに気づく。
探偵を雇い、彼の出身地を突き止め、彼の真実を追いかける旅が始まる。
果たして彼の本当の姿は誰なのか、愛する気持ちさえ嘘だったのか。
壮大で美しいラブストーリーが描かれている。

嘘を愛する女
9

「愛さえも嘘ですか?」というキャッチコピーが意味深。

長澤まさみさん演じる由香利と、その恋人の桔平(高橋一生)の愛の物語です。
映画の冒頭から伏線があり、徐々に桔平の「本当の人間性」が分かっていく展開です。
由香利は、駅で体調が悪くなったところを桔平に助けてもらいます。彼女はキャリアウーマンで、仕事をばりばりこなす人。一方の桔平は、家事はしてくれるけれど仕事には就いていません。
ある日由香利は、桔平がくも膜下出血で倒れたという連絡を受けます。しかし病院にいくと、彼の名前から生年月日、すべてが「嘘」であることがわかります。「今まで一緒にいたこの男は誰なんだ」ということになり、由香利は私立探偵の匠(吉田鋼太郎)と桔平の調査を始めます。
桔平はいつも、決まった場所で小説を書いていたことが分かり、由香利はその物語の舞台である島へ向かう。

映画を色で表すとしたらずっとグレーな感じで、桔平の本当の正体がなかなか分かりません。ミステリアスな感じなのですが、長澤さんと吉田さんの、トラブルが起きながらも調査を続けるところに「冒険」の要素もあって、物語に惹きこまれました。

ようやく桔平は前妻を自殺で亡くしていたことが分かりました。そして、物語の冒頭へ。桔平は、愛する人を亡くした悲しみと絶望のなかで由香利と駅で出会うのです。
調査の鍵である、桔平が何百枚と書き続けていた小説の主人公は、実は由香利であったことが分かります。桔平が悲しみを克服し、由香利ともう一度生きていくことを望んで書かれていた小説でした。
このエンディングには涙しました。私は、二人の愛は本物だと思います。