ジュピタリア

ジュピタリアのレビュー・評価・感想

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ジュピタリア
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初連載の宇宙SF作品

時は、西暦2150年、宇宙大航海時代。人間が宇宙で活動することが当たり前になり、人類は資源を求めて遥か彼方の木星へ豊富な天然資源を求めて進出していました。主人公である木星圏の学校に通う少年リコは、無重力下で生まれたジュピタリアン。彼らは1Gの重力では暮らせないひ弱な肉体を検査され続ける研究対象である。クラスメイトからも先生からも疎まれるリコは、宇宙に放置された壊れた船を回収する男・レイジに誘われて、“回収屋”の世界を知る。「無重力の宇宙なら自分の弱い体でも役に立てる」と自分の存在意義を見つけたリコは、宇宙に何を見るのか。危険が伴う広い宇宙に一歩を踏み立すという、新世代宇宙開拓SFロマンが始まる。作者にとって初連載となる典型的なジュブナイルSF。全体的に未熟さが目につく。宇宙SFということだが、『カウボーイビバップ』と『プラネテス』を足して10倍に希釈したような感じ。木星生まれの主人公の特性も、いわゆるニュータイプに近い。もう少し目新しさというか、特に新人なら分かりやすく斬新なアイデアが欲しいところ。ヤンジャン連載作品としては絵が幼い印象。苦しい現状から自分の居場所を見つける王道ストーリーになっていて、すごく読みやすい。差別されてきた個性を活かして人を助ける、読み心地の良い作品。