シロメ

シロメのレビュー・評価・感想

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シロメ
8

本物の怖がりの方には、これ。

フェイクドキュメンタリーの名手、白石晃士監督によるホラードキュメンタリー作品。
主演には当時売り出し中だったももいろクローバー(後のももいろクローバーZ)を起用しているが、よくあるアイドル主演映画とは一味も二味も違う。
というのも、ももクロの面々にはこれが映画撮影であることを伝えず、架空のテレビ番組の撮影と偽って撮り始めている。
そのうえで心霊現象風の様々な仕掛け(不気味なラップ音がしたり、呪われた男が泡を吹いて倒れたり)が襲い掛かり、演技ではない、ももクロのリアルな怖がりようをこれでもかと堪能できる。
つまり本作はフェイクドキュメンタリー映画であり、それと同時に物凄く手の込んだドッキリ映像なのである。
「シロメさま」という不気味な都市伝説(もちろん架空)をテーマにしていて、話の筋としては「下手をすれば呪われてしまうが、上手くいけば願いを叶えてくれるから、アイドルとして紅白歌合戦出場をお願いしに行こう」というもの。
アイドルグループを売り出すことを目的の一つにした映画だが、その点でフィクションと現実がリンクしているのである。
恐怖に震えながらも、何とか撮影をやり遂げようとするももクロの姿を、時に笑って時に共感して見ることができる。
やはり、「演技でない」ことからくる臨場感が、最大の見どころになっているだろう。
ちなみに、メンバーの中で早見あかりだけは“仕掛け人”側だったようで、自然な調子でメンバーの行動や考えをコントロールしており、間違いなく本作のMVPと言える。
ただ、その本人がのちにグループを脱退してしまうことを思うと、これもまた現実と虚構の境界が揺らいでくるのだが……。