終身犯

終身犯のレビュー・評価・感想

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終身犯
9

驚くべき実話の映画化。

日本ではとてもありえない、驚くべき実話の映画化作品。
殺人を犯した男が、終身刑に。
独房に入る他の囚人とは、交流がない。
いや、できないと言った方が正解だ。
時間は有り余るほどにあり、退屈を払しょくしようにも何の気力も起きない。
独房に一人。
話し相手は目の前の壁だけ。
看守がいるものの、自由には話せない。
規則にがんじがらめなのが、終身半にはつらいところだ。
ある日、スズメが飛び込んできた。
男は、話し相手が出来た、と喜ぶ。
そのスズメは、外と内とを自由に行き来する。
羨ましく思いながら、スズメと話す男。
ある日、またスズメがやってきた。
しかし様子がおかしい。
元気がない。
手当を施そうとするが、なにもわからない。
看守を呼んで意見を聞くが、彼もわからず。
数日後、看守が鳥の本を差し入れてくれた。
これが彼の、運命を変えていく。
必死に本を読んで、鳥の生態を覚えていく。
時が過ぎ、老人になった彼に看守が、鳥の論文を書くことを勧める。
本人も、書くことに対して迷いはなかった。
やがて、彼の書いた論文が認められ、アメリカ鳥類学会から博士号を贈呈する、との知らせが届く。
アメリカという国の、良いのか悪いのかよくわからないが、終身犯に博士号を贈呈する心の広さには脱帽する。
これもアメリカンドリームのひとつなのかもしれない。
監督は、ジョン・フランケン・ハイマー。
主演、バート・ランカスター。
日本では絶対作れない、作品。