椿三十郎

椿三十郎のレビュー・評価・感想

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椿三十郎
10

椿三十郎

黒澤明唯一のシリーズもの、用心棒に次ぐ三十郎の活躍ぶり、前作では街を牛耳るやくざの二大勢力を叩き潰し颯爽と去っていった。今作はある藩のお家騒動に巻き込まれる羽目に、ある寺で若侍たちが密かに密議をしている、どうやら城代家老が藩の乗っ取りを図つているらしい、偶然居合わせた三十郎、話の筋のおかしさにきずいて若侍たちにアドバイス、三十郎が一人芝居を打つて、ピンチをくりぬける.若侍たちの危なさが気になり三十郎助太刀をする羽目に。実のところ悪だくみを図つていたのは他の重臣たちで、若侍たちをうまく利用して、城代家老を貶めようと画策。若侍たちすっかり三十郎に心酔状態で何かとたよりつぱなし、この作品兎に角笑いとユーモアのセンスが秀逸で、コメデイー作品と思うほどに笑いが満載、監督の手腕に観ている我々が翻弄されてしまいます。そして待ち受ける驚愕のラストシーン。とても言葉では言い尽くせない驚天動地の世界映画史に残るラスト、一度見たら生涯忘れられないことになること請け合い。監督は世界の黒澤明・主演・三船敏郎・仲代達也・加山雄三・志村喬・田中邦衛・小林桂樹・入江たか子・そして出番が少ないながら強烈な印象を与える名優伊藤雄之助、わき役の鏡。

椿三十郎
1

椿三十郎リメイク版

とにかく、何から何まで全てダメ。オリジナル版と同じ脚本を使いながら、なぜここまで出来が違うのか。不思議としか言いようのない作品。才能の違いと言ってしまえばそれまでだが、それにしてもここまで酷いとは想像を超えている。言いたくはないですが、昔の映画界のレベルと今の映画界のレベルが、天と地ほどの差がある、としか言いようがない。悲しい現実を見せられて、唖然とするばかりで、口から出るのは怒りと愚痴ばかり。記者会見で主演が織田裕二と聞いた時点で嫌な予感はしていた。この時点で失敗は約束されていたも同然。世界のミフネと織田裕二。初めから勝負にならない。その他のキャスティングもことごとく失敗。見るも無残で開いた口がふさがらないとは、このこと。テレビ育ちの今時の俳優のレベルの低さには、前々から怒りを感じていたが、テレビで見るのはタダで済むが、映画は高い料金を取る。お客を失望させるのは日本映画界にダメージを与えることになるだろう。私は誰にも負けないくらいの大の映画ファンだ。その私が激怒するほどお粗末なこの作品は、黒澤明に対しても無礼であり、許しがたい。今の日本の芸能界がこのままだと、世界最悪のレベルになるのは時間の問題だろう。今の芸能界には本当にスターがいない。かろうじて、渡辺謙と真田広之だけ。あとは学芸会レベル。情けない、の一言。今は大変な時期だが、芸能界を変えるにはいい機会かもしれない。在庫一掃セール。