空海-KU-KAI-美しき王妃の謎

空海-KU-KAI-美しき王妃の謎のレビュー・評価・感想

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空海-KU-KAI-美しき王妃の謎
8

圧倒的美麗なCGで描かれた悲しき王妃の物語

八世紀大唐。宮廷にて皇帝の最期を看取った空海は、その悲惨な最期が黒猫による呪いであることを突き止める。幼い皇帝の病死。妓楼に現れた姿なき黒猫。目玉を盗まれる近衛兵たち。黒猫の跡を追って事件を調査する空海と詩人の白楽天は、やがて一連の事件が、絶世の美女とうたわれた楊貴妃につながることを知る。
原作は夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」。主演は染谷将太、中国の人気俳優ホアン・シュアンが勤め、ほかにも阿部寛などの豪華俳優陣をキャストに壮大な物語を描いております。

この映画の見どころと言ったらまず何よりも映像の美しさです。八世紀中国、日本が憧れ遣唐使を派遣し続けた大唐の整然とした街並み。燦然と輝く妓楼にて艶やかな舞を披露する娘たち。薄明りに浮かび上がる黒猫の怪しいシルエット。そして絶世の美女と謡われた楊貴妃と彼女が開いた酒池肉林の宴。筆者はテレビでこの作品を見たのだが、映画館で見なかったことを後悔する程に美しい映像の連続でした。
そしてもう一つの魅力は夢枕獏先生とチェン・カイコー監督が紡ぎだす物語の重厚さでしょう。楊貴妃の死にまつわる悲しい愛の物語。宮廷を恐怖に陥れた黒猫の悲しい過去。歴史好きにもお勧めできる一品です。