ヴァーリアの花婿

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ヴァーリアの花婿のレビュー・評価・感想

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ヴァーリアの花婿
8

あきづき空太さんの贅沢な短編集

花とゆめコミックスのマンガ短編集です。あきづき空太さんの作品ではアニメ化もされた「赤髪の白雪姫」という長編を知っている方のほうが多いかもしれませんが、この短編集はあきづき空太さんの良さが詰め込まれておりつい見返したくなります。
収録されているのは順番に「ヴァーリアの花婿」「龍の守唄」「銀世界の証明」「おとぎばなしの筆」の4作品です。
特に推したいのは短編集のタイトルでもある「ヴァーリアの花婿」です。
主人公はとある部族の長女ヴァーリア。ある家の長男で許婚だったジルが行方知れずとなり、彼の代わりに次男ルセルが許婚となりました。結婚ももうすぐそこに迫った頃、ヴァーリアは納得がいかずジルを探しに行きますが、そこにルセルも同行します。
二人の関係は悪くないのですがどうしても間に入る「長男ジル」、「許婚」というキーワードが二人にとって納得のいく心持ちにさせてくれません。
ヴァーリアは一方的に置いていかれた感情を持ちつつジルを見返すつもりで待ち続けていました。その気持ちを知っているからこそ努力するルセルと彼女の間には、思いやりがありつつもお互いに踏み込みきれない様子が読者をもどかしくさせます。
でもジルが見つかったことによって二人のお互いへの思いがわかり、晴れて結婚することになります。
他の作品も民族的な雰囲気やファンタジーの感じがとても良くて、読み終わったあとはほっこりします。