ウィッチ / The Witch / The VVitch: A New-England Folktale

ウィッチ / The Witch / The VVitch: A New-England Folktaleのレビュー・評価・感想

New Review
ウィッチ / The Witch / The VVitch: A New-England Folktale
9

2010年代スクリーン上で最悪の家族

物語の舞台となるのは17世紀のニューイングランド。
村はずれの寂れた森のそばで暮らす夫婦と5人の子供たちは、敬虔なキリスト教徒だ。
ある日、5人の子供のうちの赤ん坊の1人が行方不明となってしまう。どうやら連れ去られたようだが、獣の仕業か、あるいは魔女の仕業か分からない。
不安な日々を過ごす中で、父は愛娘であるトマシン(アニャ・テイラー=ジョイ)が魔女ではないかと疑い始め、家族は次第に崩壊していく。果たして赤ん坊を連れ去ったのは何者なのか。娘・トマシンは本当に魔女なのか。

本作の魅力は不気味さと美しさが共生する世界観。疑心暗鬼に陥った登場人物たちを通して伝わる恐怖が楽しめる傑作となっている。
所謂洋画でよくあるジャンプスケアものではないので、ジャンプスケアが苦手な人も鑑賞が可能だが、鑑賞後も泥のようにジメジメとした陰鬱で不穏な空気がまとわりつくような作品なのだ。

主人公のトマシンを演じるのは、映画界のみならずファッション界や多方面での躍進が目覚ましいアニャ・テイラー=ジョイだ。
彼女の個性的で妖しくも美しい魅力はまさしく「魔女」のようで、思わず画面に引き込まれてしまう。

ウィッチ / The Witch / The VVitch: A New-England Folktale
8

閉鎖的な感じ

ここが嫌だと思っても村に戻れないなんて、辛いなと思います。
そんな中で不思議なことが起きて、そりゃあどんどん追い詰められるよなと思います。
なんで村から追放されたのかは明らかにはされてないけど、何か相違があったのでしょうか。
なんか閉鎖的な感じがして嫌でした。
この話は魔女の話だけど、それを抜きにしたら昔、本当に起きたかもしれない話なのかもしれません。
田舎の閉鎖的な窮屈感とか、家族だけで暮らしているために姉にドキドキしてしまう弟とかすごく暗い描写が続きました。
嫌だなと思いつつ、どうなるんだろうってずっと見てしまいます。
最終的に起きた悲劇は誰のせいなのか、誰のせいでもないのかもだけど父が頼りないのは事実かもしれません。
双子もちょっとこにくたらしい感じだったし、トマソンがかわいそうでした。
最後に起きたことは不思議なことでどういうこと?って感じだけど、いろんな捉え方ができて面白いと思います。
家族もいなくなっちゃったし、ほんとに魔女になってしまったのでしょうか。
魔女文化があまりない日本人である私にはよくわかりませんでしたが、なかなか面白かったです。
魔女とか悪魔とかあまり馴染みがないけど、いろいろ斬新で面白い映画でした。

ウィッチ / The Witch / The VVitch: A New-England Folktale
7

オカルト?心理サスペンス?ユニークな魔女映画

ロバート・エガース監督によるアメリカ・カナダのホラー映画。2015年制作。舞台は1630年のニューイングランド。敬虔なキリスト教徒の家族(両親と子供5人)は宗教観の相違から、今まで住んでいた村を事実上追い出され、幽遠な森のそばで家族だけの生活を始めます。長女のトマシン( アニャ・テイラー=ジョイ)はそんな家族を献身的にサポートをしているのですが、末弟のサム(赤ちゃん)が彼女のお守り中に行方不明に。そこから家族間に微妙な歪みが生じはじめます。美しい姉をつい異性として意識してしまう年頃の弟ケイレブ、自分の娘でありながらトマシンに嫉妬する母親キャサリン、無邪気ながら不気味な双子など…ちょっと危ない雰囲気が漂っていてアメリカ映画っぽくはありません。むしろヨーロッパ風味な印象です。タイトル通り(魔女)が大きなテーマになっているのですが、ハッキリと姿をみせず、むしろ家族の疑心暗鬼や心の闇を中心に描いています。オカルトより人間の方がよっぽど怖いという事でしょうか。後半の家族崩壊のありさまはまさに悲劇そのもの。いわゆるバッドエンドですが、ラストの空中浮遊にはうっすらとカタルシスが漂っています。トマシン役の(アニャ・テイラー=ジョイ)は魅力的ですし、弟役の(ハーヴェイ・スクリムショウ)も熱演(特に今際の演技は鳥肌モノ)していて役者陣は充実しています。新しい感覚なのでホラー映画ファンなら見ておいて損はないと思います。家族で見るのはちょっと…ですね。