gifted/ギフテッド

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gifted/ギフテッド
9

天才として生まれてきた子供の幸せとは、という問から、才能の有無と幸せは繋がっているのかを考えさせられる作品

数学に圧倒的な才能を見せる少女メアリー。メアリーの親代わりを務めてきた、ちょっと貧乏だけど愛情を持って彼女が才能にとらわれずに生きることを願う叔父フランク。孫娘に最高の教育と設備を与えることで、才能を飛躍させ世界的な快挙を達成させようと考えるメアリーの祖母イブリン。そんなフランクとイブリンは、メアリーの養育権を巡って法廷で争うことになる。メアリーとのユーモラスな生活の中では明かされなかった、フランクの過去や、フランクがメアリーを普通に育てることにこだわる理由も裁判を通して詳らかにされていく。自身の判断にも疑問をいだきながらフランクはどのような選択を下すのか。あるいは選択の余地さえも奪われてしまうのか……。
数学に秀でた天才一家のなかでも特に恵まれた才能を持つ少女と、彼女を取り巻く――これまでも才能に翻弄されてきた――大人たちの物語です。家族の絆を描くストーリーではありますが、そこにアカデミックな才能と、それを持って生まれてきたゆえの苦労や、喪失など、他にはない要素が加えられており、幸せとは、家族とは、才能とは、という複合的な組み合わせによる問いかけがなされています。
役者陣の演技も秀逸で、特にメアリー役マッケナ・グレイスは、大人さえ唸らせる数学の天才でありながら、あどけない7歳児の一面も失っていない少女の姿を抜かりなく表現していおり、その卓抜した演技力に驚かされました。