侠飯

侠飯のレビュー・評価・感想

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侠飯
7

レシピも硬派なグルメ系漫画

漫画内にレシピが付随している漫画は数多く、どれもが初心者向けに分量等もきっちりとされている物が多い。
しかし、この漫画に関してはそうもいかない。
主人公の柳刃さんのように厳しく、それでいて優しく接してくる。
具体的に言えば、味付けの決め手となる調味料などが適量表記が多い事である。
「適量」、料理初心者にとっては非常に厄介極まるワードだが、同時に適量を操れれば料理上手だと思う事も可能な魔法のワードである。
そんな「適量」についても、漫画中でのやりとり等である程度察する事もでき、また「適量」とは自分にとって都合の良い量である、と言う事も気づくことができる。
お米の研ぎ方や、簡単な缶詰を使った料理、わずかな材料でも作れる料理等、料理初心者でも作れるようなメニューも数多く、
また難しい技術は必要ないが、丁寧さと根気が重要とされる時間のかかるメニューもあるなど、簡単、お手軽だけをウリにしてはいないところも好感触。
本来は小説であり、小説においては続編等も出ているが、その入門用として漫画版は非常に優れていると思う。
また、料理漫画でありながら、仁侠物と日常物、そしてキャンパスライフを同時に拝読しているようなお得感も感じられる作品である。

侠飯
10

作れる!作りたくなる!侠飯(おとこめし)!

「就活を控えた冴えない自堕落な大学生、良太は突然ヤクザの抗争に巻き込まれてしまう。そのゴタゴタのせいで良太のアパートに柳刃組の組長だというヤクザが転がり込んできて生活は一変!なんとそのヤクザ(柳刃さん)は料理が得意で…」とあらすじだけでは何が何やら全く分からないのがこの漫画。ところがグルメ漫画と任侠物が融合した新しさに加え、美味しそうな料理の描写、分量までしっかり記載されている分かりやすいレシピ、仁侠物らしい名言、アクション、さらにギャグ要素まで、どのジャンルでも戦える面白さがある漫画なのです。グルメ漫画にありがちな大袈裟なリアクションは無いものの作者の高い画力で見事に料理の美味しさ、登場人物の感動が描かれており、グルメ漫画独特のくどさが苦手な方にも非常におすすめです。また、使用される食材も特別な物は無く、レシピも簡単に美味しく作れるよう記載されている為作りやすいですしどれも間違い無い美味しさです。料理も朝食向けのものやおつまみにぴったりなものから定番おかずになりそうなもの、贅沢をしたいイベント向けのものなどバリエーションも非常に豊かで全く飽きません。
ストーリーもしっかりしていて全7巻とコンパクトでありながら、主人公やその友人がヤクザの柳刃さんとの交流で成長する描写もあり、最後にはホロリと感動できる話となっています。
グルメ漫画としても、仁侠漫画としても、ギャグ漫画、就活漫画(?)としても非常に面白い幅広い層に楽しめる素晴らしい漫画ですのでぜひ手に取っていただきたいです!