2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅

『2001年宇宙の旅』とは、1968年に公開されたアメリカ・イギリスによるSF映画および同名の小説である。映画の日本初公開も同年に行われた。原作はアーサー・C・クラーク、脚本は原作のクラークおよび監督も務めたスタンリー・キューブリック。
物語は主に人類が宇宙を旅する時代を描いている。従来の映画にはない様々な先進的手法、妥協のない完璧な宇宙空間、クラシック音楽の劇的な使い方など、これまでに作られた映画の中で最も影響力のある作品の一つとして知られており、SF映画を従来の子供向け活劇というレッテルから脱して哲学・科学・形而上学的の領域にまで高めた作品でもある。
1968年アカデミー賞特殊視覚効果賞を受賞。1969年にはSFやファンタジーの作品および関連人物に贈られるヒューゴー賞も受賞している。映画公開後に発表されたアーサー・C・クラークの小説版は、脚本と同時進行で書かれているが、クラーク独自の解釈も取り入れられている。

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2001年宇宙の旅のレビュー・評価・感想

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2001年宇宙の旅
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天才映画監督キューブリックが惜しみなく才能を注ぎ込んだ不朽の傑作!

『2001年宇宙の旅』は1968年に公開された叙事詩的なSF映画で、製作と監督はスタンリー・キューブリックです。
脚本はキューブリックとSF作家であるアーサー・C・クラークによって執筆されました。そもそもキューブリックはクラークが1951年に書いた短編小説『前衛』にインスピレーションを得ています。この映画では、人間の進化に影響を与えた異星人の石碑(モノリス)が月面で発見された後に、感情を持ったコンピュータHALを搭載して木星への飛行を続ける宇宙船でのできごとを描いています。その背景には、実存主義、人間の進化、テクノロジー、人工知能、地球以外の惑星での生活といったテーマが伏在させられています。この作品で特筆すべきは科学的に正確性を期した宇宙航行のシーン、先駆的な特殊効果などです。キューブリックは従来の映画的で物語的な演出を一切排除しました。会話は稀にしか交わされず、クラシック音楽で彩られた長回しのシーケンスが作品に挿入されています。サウンドトラックには、リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』、ヨハン・シュトラウスの『美しき青きドナウ』などのクラシック音楽は用いられています。公開後の映画の評価はさまざまで、黙示録的に暗い作品と評価する批評家から人間の希望を楽観的に肯定したとする評論家までいました。1991年には米国議会図書館が「文化的、歴史的、美学的に意義がある」との賛辞を寄せました。

2001年宇宙の旅
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現在までにおけるSF映画の原点ともいえる作品

公開された1968年において、現在のSF映画に用いられているCGやVFXなどが無い時代に、あれだけの宇宙空間模様を作りあげた作品に尊敬と感動と畏怖の念を覚えずにはいられないだろう。
今現在(2021年)において人類は月にしか到達しておらず、またAI(人工知能)も映画の中で語られるものには到底追いつけていないのだが、近い将来において、いや現在のテクノロジーであれば、この映画で用いられている宇宙空間移動も可能と思われる。
ただ、その必要性が無いだけであって、この映画の様な事象が生じたならば…。
この作品において後半はファンタジー要素が多く、作品への評価が分かれるところでもあるのだが、あの時代のSF映画としてはこれだけの映像美とそれを可能にした技術には納得せざる負えないものがある。
オープニングや作中に流れるテーマソングは誰もが知るところだろう。
あの時代はシンセサイザーが普及していたにも関わらず、作中の音楽はクラシックオーケストラを用い、壮大なスケール感を映像に持たせている。
現在のSF映画にもその流れは受け継がれ、かのスターウォーズなども劇中の音楽はクラッシックオーケストラである。
この後、続編として「2010年宇宙の旅」が作られるのだが、何においてもこの作品はSFの原点ではないだろうか。