スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』とはSBクリエイティブから刊行されているライトノベルおよび、それを原作としている漫画、アニメ作品である。原作者は森田季節。社畜OLであった相沢梓は過労死してしまい、異世界に不老不死の魔女アズサ・アイザワとして転生することになる。そこでスローライフを満喫して300年たったある日、毎日倒していたスライムの経験値が積み重なりレベルMAXになっていることが判明する。そこからアズサが様々な騒動に巻き込まれる様子がコメディ調で描かれている。

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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました
7

元・日本社畜の勤勉な最強伝説

真面目に働き続け、ついには過労死してしまった日本のOLが異世界に転生。今度は前世のように辛い労働で心と命をすり減らしたくない、と、人里離れた地でなんとかスライムを倒し、コツコツと稼ぎながら安定した暮らしを手に入れていきます。

前世と同様の真面目さもあり、転生時に習得した不老不死によって過ごした年月は300年。それまでずっと自宅周辺のスライムしか相手にしてきませんでしたが、その膨大な年月は最弱モンスターであるスライムから得た経験値でさえレベルを最大にしてしまうもの、というタイトル通りです。

スライムなど相手にならない強さを手に入れたことでスローライフは揺るぎないものとなり、暮らしは安定。快適に過ごしていましたが、ついに彼女の強さが広まってしまい、倒して名声を手に入れようとする者や困りごとを解決して欲しい者が訪ねてくるなど、その平穏が脅かされていきます。

真面目さゆえに過労死してしまい、その反省からスローライフを選択。しかし真面目さが災いし成長しすぎた結果として厄介な仕事を頼まれるようになる…と、なんとも皮肉な展開です。

「その人の力でしか解決しないことがあるなら、その人は世のため人のために力を使うべきだ」と考える人はいるでしょうし、実際に「自分にしか解決できないことがあり、しなければ人の命が目前で失われる」などということになれば力を行使しなければいけないと感じる、ということは現実的にあり得るとは思いますが、そうなると自身の望む平穏は手に入らない。
道徳的には動くべきで、しかしそれは自分を犠牲にすることになる、ということを自身に当てはめて考えるとかなり悩ましい物語です。