物理的に孤立している俺の高校生活

物理的に孤立している俺の高校生活のレビュー・評価・感想

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物理的に孤立している俺の高校生活
9

主人公格にはぴったりの異能力が現代では…

異能力が存在する世界で生活する高校生たちのお話。でも、この世界には勇者も魔王も闇の組織だって存在せず、現代社会と全く変わりない。そんな中、周りからエネルギーを無差別に奪う”ドレイン”の能力を持った高校生・波久礼業平が主人公。もし、自分が特別な能力を持ったら?なんてことを誰もが考えたことがあると思うが、現代社会で”強くてユニークな能力”なんて扱えなければ邪魔になるだけなのだと思い知らされた。
自らの能力のせいで孤立し、他人とは一線を引いてしまった主人公たちが”友達”を作ろうと奔走する。その中の掛け合いが刺々しくも軽快で、テンポよく読むことができる。友達を作ろうと、少しずつではあるが自らの自信のなさ、不安を乗り越えていく様はとても清々しいものである。業平と高鷲の掛け合いは同盟者としての連帯感があって、安定感があり心地良かった。また、高鷲の趣味が意外性に富んでいて、なんじゃこりゃと思いながら楽しむことができた。
業平は愛河が気になるようだが、肝心の愛河の距離感がもともと近いためハラハラドキドキといったところか。高校×ぼっちという定番設定で人間関係を題材にしているが、シリアスな要素があってもコミカルに真っ直ぐに描かれていて、森田季節節が感じられる。