1917 命をかけた伝令

1917 命をかけた伝令

『1917 命をかけた伝令』とは、名匠サム・メンデスが、第1次世界大戦を舞台に全編ワンカット風に描く戦争ドラマ。若きイギリス兵のウィルとブレイクの2人は、敵軍の罠にかかりそうな前線の味方を救うべく伝令を届ける命を受け、危険な道のりを必死に進んでいく。コリン・ファースやマーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチなどイギリスを代表する俳優が共演しており、世界中で高い評価を受け、アカデミー賞では10部門のノミネートとなった。

1917 命をかけた伝令のレビュー・評価・感想

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1917 命をかけた伝令
7

本物の戦場のような臨場感、ワンカット映像を駆使した戦争映画

映画『1917』は2019年に上映された、第一次世界大戦を舞台にした戦争映画です。若きイギリス軍兵士が、ドイツ軍の戦略的撤退に惑わされた友軍への突撃命令を中止するために、相手の占領下にある地帯を駆け抜ける、というのがこの映画のストーリーです。この映画の特徴は途中のカットなしで、冒頭から最後まで全く止まらない全編ワンカット撮影です。この映画のカメラ技術が卓越しており、まるでカメラをずっと長回ししているように見える、とのことで話題になりました。実はこのワンカット撮影と言われていたものは、いくつものカットをつなぎ合わせ、「ワンカット映像のように見せる」というのがこの映画の真実でした。しかし、実際はワンカット映像っぽく見せるとは言いつつも、この映像技術が映画のキャスト、音楽、映像と全てがマッチし、まるで本物の戦場にいるように感じさせる、見事な映像描写なのは間違いありません。リアルな臨場感が観る人を包み込みます。主人公は友軍部隊にたどり着くまでに数々の試練を乗り越えていきますが、それらの1つ1つがドラマチックで、視聴者の気持ちと主人公の感情が重なり、いつの間にか映画にのめり込んでしまいます。感情を見事に伝える若きイギリス人俳優の演技力と、カメラ技術が融合したこちらの『1917』をぜひご覧になってはいかがでしょうか?

1917 命をかけた伝令
8

第一次世界大戦の塹壕戦の悲惨さを見事に描いた『1917 命をかけた伝令』

『1917 命をかけた伝令』は英国の戦争映画で、2019年に公開されました。
製作はサム・メンデス、サムはクリスティ・ウィルソン=ケアンズと一緒に共同脚本を執筆しました。
メンデスは父方の祖父アルフレッドが第一次世界大戦で体験した逸話に着想を得ています。
独軍がアルベリッヒ作戦中にヒンデンブルク線まで退却した時点でのエピソードであり、2名の英兵ウィリアム・“ウィル”・スコフィールド (ジョージ・マッケイ)とトム・ブレイク(ディーン-チャールズ・チャップマン)が予想される独軍の攻勢について重要なメッセージを届ける任務を担っていました。
共演はマーク・ストロング、アンドリュー・スコット、リチャード・マッデン、 クレア・デュバーク、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ。
この製作は2018年6月に発表され、マッケイとチャップマンが10月に出演契約にサインをして、残りの出演者も翌年3月には出演が決まりました。
撮影は2019年4月から6月まで英国で行われ、カメラマンのロジャー・ディーキンスと編集者のリー・スミスはロングショットを多用しました。
『1917 命をかけた伝令』は英国で2019年12月4日に先行上映、米国での劇場公開が同年12月25日、英国での一般公開は翌年の1月10日でした。
映画は批評家に好意的な評価で迎えられ、興行収入も良好で全世界で3億8490万ドルの収益となりました。
第92回アカデミー賞10部門にノミネートされ、そのうち最優秀撮影賞、最優秀視覚効果賞、最優秀音響効果賞を受賞しています。

1917 命をかけた伝令
7

リアルな戦争を体験できる映画

監督は「007スペクター」などのサム・メンデス。
アカデミー賞や英国アカデミー賞などで、多数の賞を受賞した映画です。
第一次大戦を舞台にした映画で、2人の伝令が離れて連絡が取れなくなった部隊に連絡を伝えに行く話です。
全編をワンカット風に作っている独特の作風の映画です。
2人の伝令は作戦開始を待つ塹壕の中を伝っていき、さらにはその先のフランスの田舎の風景の中や廃墟と化した街の中を通って味方の舞台に連絡を伝えに行きます。
映像化されているのは2人の周囲のみですが、リアルな戦争中の風景を作っていました。
連絡を伝えられなければ味方の部隊が待ち構えるドイツ軍の餌食となり大損害を出すとのことで、銃弾や砲弾が降り注ぐ中でも2人は何とか辿り着こうと進み続けます。
様々な機材を使い2人の姿を上下左右から撮っていますが、撮影技術はかなり高度なものを駆使しているのでしょう。
没入感と臨場感を感じさせる作り方になっています。
「プライベート・ライアン」のような大規模な爆発やグロシーンがなくても、リアルな戦争を観る人に体験させることが可能なことを示した映画です。
これだけワンカット風のものを撮ろうとすると、周囲の大勢の出演者と動きを合わせるなど、大変だったと思います。

1917 命をかけた伝令
10

なんという臨場感

話のあらすじを言えば、「伝令を他の部隊に届けるために戦地を走る」だけですが、それがこんなにもドラマチックなものだとは、映画を見るまで思っていませんでした。主人公の視点を追い続ける、ほぼワンカット映像の迫力は、想像を絶するものがあります。映画なのに、戦地の地や土や埃といった生々しい香りまで感じられそうなくらい、戦争の悲惨さや過酷さが伝わってきます。
この映画の主人公は、ほとんど素性がわかりません。若いことや下っ端であること……それ以外はほぼ情報がないと言ってもいいてしょう。しかし、彼をこんなに応援したくなるのは、伝令がたくさんの人の命を救うものであること以上に、主人公の命がけの状況が、ほぼワンカットの映像で伝わってくるからだと感じました。
やけに劇的な戦争映画とは違い、リアルな戦場を感じさせる描写が多いこと。例えば、特徴的な遺体を目印にして進んだり、ぬかるみの中の突起物で手を怪我してしまったり。そうした「不快感」が目を逸らしたくなるほどリアルに描写されているから、この作品を見たという行為そのものが、これほどまでに強く心に残るのです。演者の緊張感ある芝居も、そのリアルさに大貢献しています。どの要素を取っても、素晴らしい作品です。

1917 命をかけた伝令
9

追体験しているかのような緊迫感に最後まで目が離せない

第一次世界大戦の真っ只中、イギリス兵士のスコフィールドとブレイクは上司から敵の罠に気づいた為明日の突撃を中止するように、と伝令の受け渡しを命令される。
その軍隊にブレイクの兄がおり、命がけで敵を掻い潜り届けに行くという話。
嘘のようだが実話らしく驚きました。最初から最後までワンカットなので、主人公の背中が映る場面が多く途中から自分が主人公になった気持ちで一緒に走っていました。
主人公はあまり有名でないので平凡感あり没入できたと思います。
ただ脇を固めるキャストはコリンファース、マークストロング、ベネディクトカンバーバッチなどイギリスの名俳優揃いで、少しだけの登場にもやはり存在感がかなりありました。途中、一番に伝令を届けたかったブレイクが助けた敵兵に刺され死んでしまうシーンが不条理で悲しく、最後まで届けるのは無理なんじゃないか…と思いましたが、スコフィールドが意思を強く持ち水に溺れても敵に撃たれてもどうにか進んでいく姿には勇気をもらいました。
スコフィールドが海に落ちもう駄目かと思った時、ブレイクが彼の故郷に咲いていた花の話を思い出し海に花が舞い落ちるシーンは戦争映画とは思えない綺麗な場面でした。
伝令を届けられるのか、鑑賞中緊張の連続で体に力が入ってしまいましたが、追体験しているかのようでかなり没頭できました。
おすすめです。

1917 命をかけた伝令
10

ドキドキハラハラ展開の戦争映画

1600人の味方兵士の命を救うために、若き英国兵士のスコフィールドたちが将軍からの伝令を届けるために奔走する話でしたが、本当に凄かったです。
英国軍もドイツ軍もお互いが命がけで自国を守るために戦っていて、退却したかに見えたけど、雪先々で罠や兵士が待ち受けているところは何度もビクッとしてしまうぐらいに驚きました。
敵だったとしても燃えている戦闘機から救ったスコフィールドたちに、命を救ってもらったとしても敵軍だったから殺した兵士も、その兵士に最後の力で襲われてしまうブレイクの姿、本当に切なかったです。
ブレイクを失った後に、味方の兵士たちに出会って途中まで送ってもらうものの、前線に向かうまでもたどり着いてからももう危険と隣り合わせで、歴史の授業でサラッと学ぶだけじゃなく、こういう実情を知らなくては本当に戦争というものはしてはいけないと実感できないと思いました。
なので、その面に関してはこの映画は世界中で放映する必要がある、素晴らしい映画となったのではないかと思いました。
そして、なんとか伝令を届けて、1600人の命を救うことに成功したスコフィールドと、スコフィールドから弟の死を聞いたブレイクの兄の会話シーンは本当にボロボロと涙が出るくらい悲しさで泣いてしまいました。

1917 命をかけた伝令
10

1917 命をかけた伝令

戦争映画の中でも、これほど塹壕の中や兵士の表情を上手に描いた作品は他にありません。
この作品は、第一次世界大戦時1917年にドイツでルーデンドルフがトップに出て、ドイツ軍をジークフリートラインに撤退させるところから始まります。イギリス軍は、このドイツの撤退を計画的な撤退だと見抜いたのですが、一部の部隊がこれを追撃してしまいます。このことを知ったイギリス軍は、ある兵士2人に追撃を中止するように伝令せよと命令を出して、物語がスタートします。
この物語の特徴として、エキストラや小道具を、かなり正確に第一次世界大戦当時の物と似せていることです。
塹壕内部の作りは、映画館のスクリーンを通しても入り組んでいて、その土のにおいも漂ってきそうな雰囲気を作り上げられていました。
さらに、その塹壕の中にいる兵士たちの疲れ切った表情や、たばこを吸えた時の安堵の表情など、実際の第一次世界大戦はこうだったのかと説得力あるものに仕上がっていました。
武器や、伝令が書いてある手紙を入れるボトルもしっかりと作りこまれており、おかしな点がないことから映画に没入感を持たせてくれています。
激しいアクション無しでここまで戦争の悲惨さを描いた映画を他に知らないので、見ていない人はぜひ一度みてほしいと思います。

1917 命をかけた伝令
8

1917 命をかけた伝令

第一次世界大戦時のイギリス軍兵士の話。前線部隊にいる兄を持つ弟とその同僚が「前線からの攻撃は敵からの罠である」ことを伝達するために危険を冒して移動する話で、戦時中の人間の心や当時の状況がわかりやすく示された映画だった。みどころは、心の優しい兵士(弟)が移動中に負傷した敵国のパイロットを救おうと親切心を見せるが、その瞬間敵に殺されてしまうところ。戦時中は、親切心が仇になる。さんざん本や映画、人の話で聞かされていた話でも映像でみるとリアルに感じることができるので、多くの方にみていただきたい作品である。
また役者の演技も素晴らしく、殺される際に血の気を失うところや嘆き悲しむシーンは映像を見て感じるところが多い。その他にも下っ端は上官に相手にしてもらえないところがあるが、これは現代社会にも存在することだろう。手紙もなく口頭で重要なことを伝達し、道をあけてもらおうとするには無理があるだろうと思う設定だったが、きちんと理解しようと持っていた手紙を読んでくれた人がいて、最終的には少しでも貢献出来たところはよかった。また、戦争が現在進行中の際に、まったく身動きがとれなくなり会話がままならない上官がいたが、普通の会社でも存在しうるキャラクターであり、印象に残っている。