チャイニーズ・ゴースト・ストーリー / A Chinese Ghost Story / 倩女幽魂

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー / A Chinese Ghost Story / 倩女幽魂

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』とは、1987年に香港で制作・公開(日本では1989年に公開)されたSFホラー恋愛映画である。
遠い昔の中国を舞台に、借金の集金をしながら旅をしている青年ニン・ツォイサンが一晩泊まれる場所を探し、蘭若寺へ向かう。すると琴の音色が聞こえ、ツォイサンが音色の方へ行くと、琴を奏でる美女シウシンと出会う、というストーリーである。本作品におけるSFXホラーは画期的であり、香港映画界に大きく影響を与え、これ以降多くの類似作品が多く製作された。

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チャイニーズ・ゴースト・ストーリー / A Chinese Ghost Story / 倩女幽魂のレビュー・評価・感想

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チャイニーズ・ゴースト・ストーリー / A Chinese Ghost Story / 倩女幽魂
10

正直者が報われる世界

主人公は香港映画界のスターであるレスリー・チャン、主人公を助けるのは台湾出身女優のジョイ・ウォン。まずストーリー云々の前に、宣伝ポスターやDVDの表紙になっているジョイ・ウォンの物憂げな表情に引き込まれてこの映画を観たという方も多いことでしょう。とはいえ作品自体もなかなか見ごたえがあり、単なるチャンバラ系やSF作品とは一線を画す魅力があります。香港映画を初めて観る方にも自信をもってお勧めします。純朴で優しく正直者の主人公が、ひょんなことから魔物と戦うことになるものの、魔物一味のうちの一人が主人公の味方のような存在となり、何かと助けてくれるようになります。
この作品の魅力として、まずは主演・助演の俳優陣の豪華さや美しさなどの見ごたえが挙げられますが、ほかにも大ヒット作としての要素が数多く盛り込まれています。主人公のピュアさに最初から最後までブレがないことや、敵である魔物界に身を置く存在が最大の味方となってくれるという人間味の表現、しかも純朴でやや鈍感な主人公がほとんど気づかないところで陰ながら救う控え目さなどが印象に残ります。そしてラストには、互いの立場の違いから切ない結末を迎えますが、それでも主人公は前を向いて明るく生きていこうとします。
西洋のゴースト系とは明らかに異なり、東洋ならではの繊細な心理描写や、人間関係における微妙なやりとりには、日本人ならとても共感できると思います。一度みればもういいや、となる映画も多い中で、この作品は何度も何度も繰り返し見たくなる魅力があります。

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