86ーエイティシックスー

86ーエイティシックスー

『86ーエイティシックスー』とは電撃文庫から刊行されているライトノベルおよびそれを原作とした漫画、アニメ作品。著者は安里アサト、イラストはしらび、メカニックデザインはI-IV。
軍事大国ギアーデ帝国は国内で開発した無人兵器〈レギオン〉を武器に周辺諸国へ宣戦布告。〈レギオン〉部隊による侵略戦争が全世界を巻き込んだ大戦となる。
尊厳を奪われ消耗品として扱われるエイティシックスと後方から特殊通信で彼らの指揮を執る指揮管制官〈ハンドラー〉が織りなす激しく悲しい戦いと、人との別れが連なる物語である。

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86ーエイティシックスーのレビュー・評価・感想

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86ーエイティシックスー
10

天才的な戦闘能力をもつ少年と志の高い司令官の少女の物語

『86ーエイティシックスー』は主人公の天才的な戦闘能力をもつ少年と志の高い司令官の少女を中心に展開される物語です。少年はチームを率いる隊長で少女はそのチームの司令官をしています。少年は決して良いとはいえない環境で戦闘を繰り返し、これまで多くの仲間を看取ってきました。そしていつしか死神と呼ばれるようになりました。このように、この世界では日々、戦闘が繰り広げられ、多数の犠牲が出ています。しかし、「死者は今まででひとりもいない」とされています。それはこの世界において人間とされるのは司令官の少女を含む、銀髪と青眼の特徴をもつ人間のみであるからです。そしてあるとき、少年たちに最終オペレーションが命じられます。内容は「前線でひたすら戦い続けろ、撤退をするようならば処刑する」というもので言いかえれば「死ぬまで戦え」というものでした。最終オペレーションで少年たちはどうするのか、少女は少年たちとどんな関係を築いていくのか、そういったところが見どころです。また、戦闘描写も的確で、動く棺桶と呼ばれている機械に乗って戦う少年たちとその場面を共にしているようで、そこも見どころの1つとなってます。少女の志とそれを良しとしない世界、そんな葛藤も共感ができ、物語を見ている私達と同じような視点なのかもしれません。

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8

人はここまで残酷になれるのか?

角川の電撃文庫で大賞を受賞した作品のアニメ化。
レギオンと呼ばれる帝国の自動戦闘機械の軍勢と人類の壮絶な戦闘を描いた作品。
「豚に人権を与えぬことを、非道とそしられた国家はない」白系種(アルバ)以外の人種を「豚」と定義して強制収容所に収監し、
彼らを貧弱な自国の戦闘機械に載せ自動戦闘機械と称し戦わせ「戦死者ゼロの戦場」と嘯き、自国内で偽りの平和を貪るサンマグノリア共和国。
戦闘機械に乗る彼らは86(エイティシックス)と呼ばれた。
レギオンとの最初の戦闘で大人はほぼ死亡。現在戦っているのは少年少女兵のみ。
彼らは、ハンドラーと呼ばれる共和国の軍幹部に指揮されているが、ハンドラーは自ら戦場に立つことはない。
ただ後方で戦闘を監視するのみ。少年兵達は自分たちで活路を開いていくしかなかった。
その少年兵の中にレギオンの声が聞こえる者がいた。彼の名前はシンエイ・ノウゼン。
レギオンの行動を正確に読み搭乗機の貧弱な兵装を効果的に活用しながら次々にレギオンを撃破。
所属部隊は彼を除き全滅を繰り返す。彼についたあだ名は死神。彼の率いる部隊は最強故に激戦区に投入される。
その彼の部隊を指揮するハンドラーに新しい指揮官が来た。彼女の名前はヴラディレーナ・ミリーゼ。
彼女の接し方に当初は戸惑うシンエイ達だったが、次第に心を開いて行く。
それもつかの間、シンエイ達に下された次の指令は帰還することが許されないものだった。

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10

臨場感と心理表現が素晴らしい

所謂SF作品ですが、メカニックデザインが現在のロボットアニメには無い多足歩行の蜘蛛のようで、今までにない、臨場感あふれるアクションを楽しめます。
登場人物に関しても、個性豊かというほどの強烈なキャラクターは少数ですが、それぞれがそれぞれの心情を持ち、より現実味を感じさせられるような表現が多く、物語が進むにつれて仲間の大切さ、ということを痛烈に感じさせられる作品です。
また、物語のあらすじとしては、最初は分かりやすくシンプルだなと思いながら見ていたのですが、中盤くらいから予想できない展開となり、先行きが全く想像できないという感じで、続きが非常に気になります。
主人公の少年は、今時の個性豊かなキャラではなく、地味でしゃべらない、面白みが無いといったモブキャラのような存在ですが、それを覆すような変貌ぶりを見せたり、表には出さない内に秘めた仲間想いの優しい一面もあり、普段の冷徹なイメージとのギャップも見どころの一部です。
作画のクオリティも最初から最後まで落ちることなく迫力と臨場感を常に感じさせてくれます。
戦争という観点とはズレますが、戦場での命の価値、人種による人権の損害、命の儚さと脆さという概念を深く感じさせられた内容となっており、作品を鑑賞しながらも考えさせられる作品となっています。

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