ギヴン

ギヴン

『ギヴン』とは、新書館『シェリプラス』で連載されたキヅナツキのBL漫画原作による青春アニメ。2019年7月から放送された。フジテレビ「ノイタミナ」初のBLコミックのアニメ化作品として、話題となった。卓越したギターの腕を持っている男子高校生・上ノ山立夏は、ギターの腕が上がるほど、音楽への熱が冷めていくのを感じていた。だが、偶然隣のクラスの佐藤真冬と出会い、運命の歯車が動き出す。真冬は、聴く者をを魅了する歌声という才能があったのだった。真冬は、立夏の所属するバンドの練習を見学しに行くことになった。

ギヴンのレビュー・評価・感想

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ギヴン
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同性愛という言葉がなくなる日は遠くない

男性同士の恋愛を描いた作品です。
段々と恋愛において性別による差別が少なくなってきているとは言え、まだまだ世間の目が冷たい印象のある同性愛ですが、この作品においても世間の目の冷たさや、自分が同性愛者だと気づいた主人公や登場人物の、周囲に対しての複雑な気持ちなどが描かれており、自分自身そのような感情を持ったことはないにも関わらず、いつの間にか感情移入してしまっていました。
作品自体は、全11話のアニメで、長くないため一気に見てしまうことをお勧めします。
この作品を読むことの利点は、自分が経験したことのない事柄について、理解することの難しさを感じることが出来る点です。
具体的には、この作品の醍醐味である「同性愛」に対して理解をするということは、言葉では簡単に見えても、実際に言葉通り理解することはかなり難しいということが、登場人物の発言や表情から痛いほど伝わってきます。
人間は元々誰かの気持ちを読んだりすることは出来ないので、その気持ちを理解しようとすること自体が、本来間違っているのかもしれません。
ですが、理解しようと努力出来るのが人間なので、実際に理解したという事実が重要なのではなく、理解しようと努力する姿勢が重要であることを再認識することが出来ます。
また、この作品は、男性同士の恋愛における失恋からの立ち直りについても描かれています。
王道な恋愛漫画における、失恋した相手に対して「俺が忘れさせてやりたい」という当たり前の感情が同性愛というジャンルにおいても変わらずに存在していることで、男女恋愛と同性恋愛を比較しても、お互いを思いあう気持ちに違いはない。という部分が上手に描かれていると感じました。
同性愛について興味がない方も、一度アニメを見て少しでも「同性愛」という言葉が、「恋愛」という言葉の中に当たり前に入っていけるような世の中になれば良いなと思っています。

ギヴン
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学生バンド系青春BL漫画「ギヴン」

私が人生で初めて読んだBL漫画「ギヴン」を紹介します。
BL漫画と聞くと様々なイメージを持つ方が多く、そのイメージはいいイメージのみとは限らないと思います。
私も今までBL作品には触れてきませんでしたが、ギヴンを読んでイメージが全てが覆されました。
ギヴンはキヅナツキ先生による商業BL漫画で、アニメ化、映画化されています。
簡単に説明すると学生がロックバンドを組み、青春を送る作品です。
ギターを担当している「立夏」はひょんなことから「真冬」に出会い、ギターを教えることになります。
ギターを持っていながら全く弾くことができない真冬は立夏のバンドを見て刺激を受け、音楽に興味を持ち始めます。
そして真冬の歌の才能を買って立夏は自分のバンドのギターボーカルにスカウトするのでした。
しかし真冬が持っていたギターは実は元恋人「由紀」の遺品で、由紀は自殺をして亡くなっています。
最初は音楽を始めることに躊躇した真冬ですが、由紀への様々な感情を歌に乗せて表現し、立夏との新しい恋を始めていきます。
一つ一つの楽曲に真冬の思いのすべてが詰まっており、心をグッと掴まれます。
アニメや映画で流れている曲も素晴らしいので、ぜひ歌詞にも注目してギヴンを楽しんで欲しいです。
真冬と立夏の恋模様が中心ですが、他のバンドメンバーの恋路も描かれており、どの恋もすごく切なくて甘酸っぱいです。
少女漫画と変わらないときめきや切なさが詰まった作品なので、BLに偏見がある人もそうでない人も是非見てほしい作品です。

ギヴン
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究極のエモい。BLを越えた恋愛漫画

オルタナティブ・ラブ作品と言われていますが、
ひとことでいうとエモい。
胸がキューッと締め付けられます。
真冬は5話ぐらいまでふわふわしていて
何を考えているのか分からず見ている
こっちも若干イライラしました。
が、その5話の真冬の過去を知った瞬間、
真冬ごめんなさい...と何度も謝りました。
中学生の男の子が経験したと思えない辛すぎる過去。
それなのに音楽と向き合おうとした真冬の強さ。
本当にエモい。切なく美しいです。
そんな真冬に惹かれ、不器用にも包み込んでくれた上ノ山くん。「尊い」とはまさにこのことです。

また歌もエモすぎた...。音楽もメインであるので歌や歌声はどうなるんだろう...と思っていましたが、
実際に聴いてみると本当に声優さん?
と思うほど上手で心に響く歌声でした。
曲もソロギターのところがとにかくかっこよすぎた...。
あまりギターには詳しくないですが、すごいテクニックなことは伝わりました。
曲もそのままCD化されているそうです。ほしい!!!

さらに大人組の梶さん、春樹さん、雨月の展開も気になるところです。アニメでは落ち着いた雰囲気の御三方も複雑な感情を抱えていて目が離せません!
BL作品ではありますが、誰もが共感する部分があると思います。是非見てほしいです!

ギヴン
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BLに抵抗がない方には、ぜひ見ていただきたい作品です

タイトルにも記載した通り、この「ギヴン」という作品はBL、いわゆる「ボーイズ・ラブ」と呼ばれるジャンルに分類されます。
しかし、いわゆるR-18的な要素は全編通してほとんど含まれませんし、物語の主軸もそこにはありません。
私自身、普段は全くBL作品は読まないのですが、こちらの作品は友人に勧められて見てみたところ、抵抗なく楽しむことができたのでこうしておすすめしています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここから作品を見ての私の感想をお伝えしたいと思います。
私がこの作品を通じて感じたこと、そしてお伝えしたいことは大きく分けて2つあります。
まず1つが、「音楽」が良すぎる、ということ。
2つ目が、キャラクターが非常に魅力的、かつ共感できる要素に溢れているということ。
以上の2点について順に詳しく触れていきたいと思います。
まず、「音楽が良すぎる」という要素についてお話ししたいと思います。
この物語は、主人公が所属する「バンド」を中心に物語が展開されており、そのため作品中に歌唱シーン、演奏シーンも登場します。
漫画でも十分に楽しむことはできますが、「音楽」を実際に楽しむためには、ぜひアニメ版・映画版の「ギヴン」を見ていただきたいです。
オープニングやエンディング、劇中歌、どれをとっても本当にすばらしいのですが、音楽を楽しむ際にはぜひ「音」や「声」だけでなく、「歌詞」にも注目してみてください。
直接的な描写がなくとも、このシーンのことを歌っているのかな?、このキャラの心情に寄り添った歌詞なのかな?と、様々な考えを巡らせることができます。
また、作者であるキヅナツキ先生、楽曲提供をなさっているセンチミリメンタルの温詞さんのお二方ともに「言葉選び」がとてもすばらしいです。
「人間の心情を理解しすぎでは…?」とならざるを得ない適切な表現に何度痺れたことかわかりません。
覚えはあるけれど、決して言葉にすることはできなかったいくつものモヤモヤとした感情をふわりと優しく包み込んでくれる、そんな音楽が「ギヴン」という作品には多く存在します。BLに抵抗がある方は、音楽だけを聞いてみても良いかもしれません。それくらい、おすすめしたい「音楽」がこの作品には溢れています。
続いて、キャラクターが非常に魅力的、かつ共感できる要素に溢れている、という点についてお話しします。
この作品は、先述しました通り、主人公が所属するバンドを中心に物語が展開しており、登場する主要人物は皆、「音楽」に携わっています。
しかし、この作品を楽しむ上で、音楽の知識は必要となりません。(知識があることで、より楽しめる場面もあるとは思います。アニメでは実際に「音」の要素がプラスされるので、知識がある方がこの場面は面白いな、と感じる部分もありました。しかし前述した通り必須ではありません。)
話を元に戻しますが、この作品では「音楽」、「バンド」を通して、またさらにその枠を超えて、彼らの人間性が丁寧に描かれているため、自分自身が「音楽」を嗜んでいなくとも、彼らの感情に「ああ、自分もこの感じには覚えがある」といつの間にか共感を覚え、思わず自分を重ねてしまいたくなるのです。
恋人を亡くした高校生、天才ヴァイオリニスト、いつの間にか音楽を楽しむことを忘れてしまった大学生、などなど、一見しても自分との共通点などなさそうな彼らにも、確かに自分と同じように悩み、苦しみ、希望を求める姿がありました。そして、苦しみの中でもがき、それでも前を向く彼らの姿を見ることで、私自身もゆっくりと前を向く勇気をもらうことができました。
日常生活を送る中で、ふと疲れや不安、言葉にできないような孤独感に苛まれたとき、この作品をぜひ見ていただきたいです。
きっと、作品が、登場人物が、優しく寄り添ってくれると思います。
漫画版・アニメ版・映画版のどの「ギヴン」もそれぞれ非常に多くの魅力に溢れているので、ぜひご覧になってくださいね。

ギヴン
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TVアニメ『ギヴン』の見どころ

このアニメの見どころは簡潔に言うと「恋愛模様(※BL)」と「音楽」です。大学院生の中山春樹と、大学生の梶秋彦と共にインストバンドで活動している高校生の上ノ山立夏は、学校で弦の錆びたギターを抱えて眠る佐藤真冬に出会います。そこで立夏が弦を張り替えてあげたことがきっかけで、真冬にギターを教えることになり、真冬も立夏らのバンドメンバーの一員になります。
ここまでは普通のバンドアニメかと感じると思いますが、メンバーそれぞれの恋愛模様が切なく、もどかしいのです。一番年上の春樹は同じバンドメンバーの秋彦が気になっていますが、秋彦は元彼である村田雨月と同居をし、別れてからも肉体関係が続いています。真冬は常に彼が抱えているギターの持ち主である元彼・吉田由紀が真冬との些細な喧嘩がきっかけで自殺してしまったという悲しい過去を持っていて、そんな真冬の過去を知った立夏は次第に自分の真冬に対する好意に気づいていきます。それぞれが複雑な恋愛感情を持ち、葛藤しながらも、人間として、さらにバンドとして成長していく様が見ていてもどかしく、応援したくなるようなアニメです。
そしてバンドアニメでもあるということで、劇中曲やエンディングテーマにも注目して欲しいです。劇中曲の「冬のはなし」、エンディングテーマの「まるつけ」は共にアニメで立夏たちが組んでいるバンド「ギヴン」の曲で、作詞・作曲・編曲は実在するアーティスト・センチミリメンタルさんが担当しています。この両曲がアニメの物語や、真冬の経験・感情ととてもリンクしていて(劇中では真冬が作詞という設定であることから)、演奏シーンは特に感情移入して泣けるものでした。
このアニメは物語はもちろん、音楽も本格的で楽しめるものですので、BLアニメや恋愛アニメが好きな方はもちろん、バンドが好きな方にもおすすめしたいです。