グラン・トリノ / Gran Torino

グラン・トリノ / Gran Torino

『グラン・トリノ』とは、2008年にクリント・イーストウッドが監督、プロデューサー、主演を務めたアメリカのヒューマンドラマ映画である。
ミシガン州を舞台に、頑固な元軍人ウォルトと、モン族の隣人、少年タオとの心の交流を描く。一度は、ギャングにそそのかされ、ウォルトの愛車を盗もうとしたタオであったが、ウォルトに仕事を世話してもらい、真面目に働く。一方で、ギャングの、タオへの嫌がらせはエスカレートしていく。タオやタオの家族を守る為、ウォルトは命を賭けて、ギャングを刑務所送りにする。

グラン・トリノ / Gran Torinoのレビュー・評価・感想

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グラン・トリノ / Gran Torino
9

偏屈じいさんが似合う

長年連れ添った妻を亡くし、人付き合いしなくなり、どんどん偏屈になったじいさんと少年の友情の話です。クリント・イーストウッドがその偏屈じいさんを演じているのですが、これがよかったです。周りに毒づいたり、タイの山岳民族のモン族をネズミ呼ばわりしたり、どうしようもないじいさんなんですが、孤独感もあって、もちろん、孤独になったのは自分のせいとかもあるんだろうけど、息子らとも折り合いも悪く、いろいろ辛いんだろうなと思いました。そして、偏屈になった原因には戦争も関係していて…。そりゃあ、命を奪ったり奪われたりの戦争を経験したら偏見や頑固さが残るかもねと思いました。若くて戦争を知らない人にはわからないことなのかもしれません。それでも近所の人と付き合うことでどんどん変わっていくじいさん。やはり、人との付き合いが、人を変えるんだなと思いました。モン族の少年も悪い輩に絡まれたり、いろいろ大変です。それを助けてくれる人が現れてどれだけ心強かったでしょう。内気な少年の面倒を見るじいさんがとても微笑ましくてよかったです。そんなに仲良く見えなかったけど、それでも信頼しあってる感じが出ていて、それはなぜだろう、演出がすごいのかなと思いました。さすが、クリント・イーストウッドです。

グラン・トリノ / Gran Torino
8

渋いという言葉がピッタリな映画グラン・トリノ

渋いという言葉には、落ち着いた趣がある、味わい深いなどの意味がありますが、グラン・トリノという映画がまさにそうだと思います。妻に先立たれた、頑固な隠居老人を演じる、クリント・イーストウッドが、隣のモン族の少年と、少しずつ心を通わせていくストーリーです。この映画を見ていると、家族や血の繋がり民族、年齢、性別など関係なく、人と人のコミニケーションの中で相手のことを理解し、認め合い、尊敬し、友人になれることが、いかに素晴らしいかを、感じざるをえません。イーストウッド演じる、コワルスキーは、頑固でニヒルな老人です。口を開けば悪態ばっかついてます。なのにところどころ、可愛い面もあって、憎みきれません。このコワルスキーの生き様を描いたグラン・トリノ、現代では、こんな生き方がかっこいいと思ってたんだ昔の男性に対して、ふーんといった、一歩見せ方を間違えれば、よくある自己犠牲のお涙ちょうだい映画よね、と、嘲笑を買いそうなシナリオですが、見終わったあとの涙、心のうちから湧き出る、かっこいい、という感情。クリントン・イーストウッド演じるコワルスキーの生き様に、果てしない憧れを抱き、エンドロールを涙なしでは迎えきれない、そんな映画です。