空母いぶき

空母いぶきのレビュー・評価・感想

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空母いぶき
7

戦闘と平和の対比が面白い

日本の離島を不法占拠した外国軍隊と自衛隊の戦闘ということで、ガチンコの戦争映画をイメージして鑑賞しましたがそれだけでなく見どころのある作品でした。
専守防衛の枠の中で日本の領土と国民の安全を死守しなければならない自衛隊員たちの奮闘ぶりももちろんですが、たまたま乗り合わせたネットニュース記者、食料買い占めの舞台になった単なるコンビニ店員まで、緊張した戦闘シーンと身近にあるシーンが対比して描かれていることにリアリティを感じました。
個人的には中井貴一演じる冴えないコンビニ店長が、戦争すれすれの戦闘が起きてることすら知らずにお気楽に振舞っているのがコミカルで、厳しいシーンの中で癒されました。
コンビニ店長のストーリー上の大きな役割は無いけれどたまたま書いたクリスマスカードの「世界中みんななかよく」というメッセージが刺さりました。
実際そのメッセージが本田翼演じる空母いぶき艦内のネット記者に届いて、それが空母いぶき艦内で実際に起きている戦闘を国民に知らせる問題提起のきっかけになったというのも泣けます。
もちろん本筋の西島秀俊演じる空母いぶき館長たちの不屈の戦いぶり、佐藤浩市演じる内閣総理大臣たちのギリギリの心理戦も見逃せないポイントでした。

空母いぶき
8

平和のありがたさを痛感

今年4月の完成披露試写で鑑賞。予告からして某ゴジラ映画のようなスケールの大きな作品の予感がしていたが、実際に映画を鑑賞してみると想像以上の出来栄えだった。息をつかせぬような手に汗握る怒涛の展開。主役級の豪華俳優陣の演技がまた素晴らしく、秋津役の西島秀俊は微笑みながらどこか戦いを楽しんでいるような怖さの残る雰囲気が印象的だった。また、新波役の佐々木蔵之介も秋津とは両極端な性格を演じるのが実に上手く、秋津と新波の2人が性格は違うながらも同期としてお互いを信頼し合いながら戦っているというのがとてもよく伝わってきた。映画自体はこの日本でよくここまで実写化してできたなという印象があり、自衛隊について知らない我々のような一般人でもわかりやすく、映画を観た後に海上自衛隊に興味を持つことができた。作中緊迫したシーンが続く中、中井貴一の演じるコンビニ店長のシーンはほっと一息つける緩の瞬間であり、このシーンがあることによって我々が普段いかに平和に過ごしていることができているのか、また平和であることの大切さを考えることができる感慨深い作品となっていると思う。原作はまだ読んでいないが、映画自体がおもしろくまた観たいと思えるような作品だったので、漫画のほうも読んでみたい。