青のフラッグ / Blue Flag

青のフラッグ / Blue Flag

『青のフラッグ』とは集英社のWebサイト『少年ジャンプ+』に掲載されたKAITOによる漫画。人生の岐路とも言える高校3年生の4月、地味な主人公・一ノ瀬太一は苦手意識を持っていた空勢二葉、幼馴染で人気者の三田桃真と同じクラスに。桃間に思いを寄せる二葉が、太一に協力してほしいと頼んだことから始まる青春真っただ中、新感覚の”純”愛物語。誰かを好きになるとはどういうことなのか、男女の友情は成り立つのかといったテーマに深く切り込んでいる。

青のフラッグ / Blue Flagのレビュー・評価・感想

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青のフラッグ / Blue Flag
8

切ないラブストーリーです

最初、よく少女漫画にあるような、三角関係の恋愛マンガかと軽い気持ちで読み始めたのですが、5話を読んで衝撃を受け、作品の世界にひき引き込まれてしまいました。
様々な人物のいろいろな思いが描かれており、どの人物も相手のことを想っていて幸せになってほしいと願っていて、そのために自分の気持ちを押し殺しているところなど読んでいてとても切ない気持ちになりました。
また、この作品の好きなところがクラスの中心グループの人が目立たないグループの人に挨拶してるところなどがさりげなく描かれているところです。
私は学生時代、地味で真面目であったため、そのような描写を見て作者のやさしさを感じました。まだ連載中であるため、この先、この2人の恋愛はどのように進んでいくのかとても楽しみです。
太一の自分を犠牲にするような優しさをトーマは知っており、私もそんな人が近くにいたら好きになってしまうかもしれないなと思いました。また、私は最初マミのことがあまり好きではありませんでしたが、読み進めていくうちに、自分の気持ちをはっきり口にして、裏表のないところがとても心地よく、今では一番好きなキャラクターかもしれません。
嫌な登場人物は一人もおらず、読んでいてみんな幸せになってほしいなと思いました。

青のフラッグ / Blue Flag
8

高校生達の青春群像劇

『青のフラッグ』は、少年ジャンプ+にて連載中の漫画だ。
高校3年生の主人公・一ノ瀬太一は、学校帰りの本屋で同じクラスの空勢二葉が恋愛にまつわる本を取ろうとしてる所に遭遇し、なし崩し的に彼女の恋に協力する事に。二葉の恋の相手は、太一の幼馴染である三田桃真。スポーツ万能で社交的な幼馴染に苦手意識を持ってる太一だが、二葉に協力すると言った手前引けなくなってしまう。行動を共にするようになり、太一は二葉の健気な性格に次第に惹かれていく。一方の桃真にも好きな人がいる様子。その相手とは...。
主人公の太一は、これといった取り柄もないごく普通の男子高校生。そんな自分に少し似たどこか鈍臭い二葉を苛立ちを覚えたり、幼馴染でありながら学校のヒーローである桃真に劣等感を感じたり。正直、漫画の主人公としてはネガティブで頼りない。しかし、誰もが1度は抱いた事のあるような複雑な感情を表に出すキャラクターであるので、共感が出来て応援したくなる。反対に、幼馴染の桃真は朗らかで笑顔が耐えない明るいキャラクターであるものの、内に秘めた思いを決して表に出す事がない。そんなキャラクターの魅力がこの作品の何よりの魅力だ。
また他の少女漫画との大きな違いとして、同性の親友を恋愛対象にするキャラクターの存在が挙げられる。特に6巻以降では、偶然が最悪の形で重なりその思いが学校中に広まってしまう。動揺するキャラクター達の絶妙な心理描写。知ってしまった思いを受け止めようと悩み、互いの意見をぶつけ合う彼らの様子は読んでいて胸が苦しくなる。ただただ面白いだけじゃない、考えさせられる作品だ。
作品自体、アプリで基本無料で読むことができるので是非気になった方は読んでみて欲しい。

青のフラッグ / Blue Flag
10

新しい「青春」をぜひ味わって欲しい!!

『青のフラッグ』はKAITOさんによる作品で、まずはなんと言っても絵がきれい!クセがなく見やすいイラストで物語を進めてくれます。話の展開にも緩急があって、1巻ずつ読み応えのあるシーンが必ずあり、全8巻飽きることなく楽しめます。集めやすい巻数でもあり、「コレクションしたい!」という方にお手頃だと思います。大きなテーマは「ジェンダー」です。主人公と、彼に対して好意を寄せる幼なじみ、引っ込み思案な女友達の三角関係が描かれていて、読者の感性に寄り添った同性愛作品だと感じます。加えて、読めば読むほど新しい部分を発見することができ、味が出て「ジェンダー」以外の観点からでも楽しめると思います。そこはぜひこれから読むにあたっての楽しみにしていただきたいです!現代、「同性愛」をモチーフにした作品は増えてきていますが、本作品は特に新しい描き方で「同性愛に抵抗がある。」「BL作品は買いにくい。」などの考えを持つ方にぜひ読んでいただきたいです。絵がきれいと最初に触れましたが、切なくて儚い登場人物たちの表情が細かく描かれているところがポイントです。気づいたら涙が出ているほどに感情移入できる表情のリアルさと、選び抜かれたセリフがこの作品の強みです。また、登場人物全員の人間らしさに心を打たれます。全員に人間味があって様々な部分で共感できるため、現実と重ね合わせながら楽しめて、考えさせられる面白さを感じることができます。何度読み返しても感動できるし楽しめるという点で、購入して損のない作品であると断言できます!「青春ものに飽きてしまった。」「少女漫画の恋愛では物足りない。」などと思う方には本当にオススメです!どの世代の方が読んでも共感できるし、心に響いてくれること間違いなしです!

青のフラッグ / Blue Flag
9

様々な人間関係の在り方が問われる

不器用で陰キャな太一とそれを取り巻く友人たちの関係が描かれている作品です。太一の幼馴染であり皆からの人気者である桃真とのすれ違いだったり、その桃真に憧れる双葉に、太一が桃真に罪悪感を感じながらも惹かれて行ったり…。初めは双葉と太一が惹かれ合う普通の作品かと思っていましたが、そうではありませんでした。双葉は太一の素直さや内に秘めた強さに惹かれ、桃真は実は太一にずっと片思いしていて、という構図が凄くもどかしくそれでいて自分や自分の周りの環境を再度問うとてもいい作品だと感じました。絵の繊細さもさることながら、人物それぞれの表情がとても豊かでかわいらしく、時には力強く、とても引き込まれる良作です。人気者の桃真を取り巻く友人たちの人間関係も徐々に描かれていき、さも自分が彼ら彼女らの学年のクラスメイトであるような錯覚も感じます。人間関係は表面に現れているほど単純ではなく、複雑で、理不尽でもあるというやるせなさや不安感も感じます。ただそのような状況を主人公たちがどのように感じ考え、突破していくのか、これからの展開が非常に楽しみです。また、章の間や巻末に描かれたミニキャラがとてもかわいいのもおすすめです。