アカシック / AKASICK

アカシック / AKASICKのレビュー・評価・感想

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アカシック / AKASICK
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みんな恋してるか

恋愛ソングを探している方におすすめのバンド、アカシック。
ボーカル理姫、ギター奥脇達也、ベース黒川絢太、ドラム山田康二郎からなる女の強さが光るロックバンドである。

ファンは理姫の世界観に共感する女性が多いが、女の魅力全開の理姫にメロメロな男性も少なくない。

デビュー当初、金髪にミニスカート、ハイヒールといったTHEギャルだった彼女の経験と価値観がもととなった恋愛の曲が多い。自分とは違う世界なのにどこか照らし合わせられる歌詞がなによりもの魅力。
想像通りの強気な曲から予想外な繊細な曲まで。一言で両思いソング、失恋ソングと言えない多種多様な恋愛模様が描かれている。

初めて聞く人へのおすすめはアカシックの人気曲である「8ミリフィルム」。
恋に一生懸命だった頃を思い出す甘酸っぱい歌。好きな人への憧れと叶わない切ない想いに胸がきゅんとなる。

誰にも言えない恋をしている人に聞いてほしい「さめざめ」。
私ってあなたのなに?
曖昧な関係性。
やめたいのに離れられない。
こういった題材の曲は直接的な詞が多いが、「さめざめ」は比喩的な言葉で恥ずかしさを感じずむしろ美しい。苦しい気持ちにそっと寄り添ってくれる一曲。

ファンからの人気が高い隠れエースナンバーの「you&i」。
恋愛に限らず友達や家族など、無償の愛を歌った曲。誰もが大切な人に抱いたことのある優しくてやわらかな気持ちに涙ぐむ。
MVではメンバーが愛犬と遊ぶ様子が映されている。少しレトロな色合いの映像に懐かしさを感じて心温まる作品。

これらの歌を支える曲の多くはポップでリズミカル。失恋ソングでも軽快な曲調に凹んでばかりいられないと背中を押される。
作曲はリーダーであるギターの奥脇達也が担当している。

アカシックの代表曲「プリチー」は一度聞くと忘れられない中毒性がある。
ドラムのソロから始まり、キーボードの少しとがったサウンドが曲のテンションを一気に上げる。
また、縦ノリのクラブ調で覚えやすい。コールアンドレスポンスが多いので、ライブでは会場とバンドの一体感がとても熱い。

同じく「サイノロジック」もノリやすい曲である。「最高潮だと伝えたい」という歌詞がよく似合うハイテンションのアップテンポが実に楽しい。
この曲はギター奥脇本人が弾いてみた動画を投稿している。メロディー、バッキング、ソロを1人でこなす技術力はバンドマンも必見である。

失恋ソング=暗い
両思い=明るい
といった風潮に流されないところがアカシックらしさ。ぜひ歌詞を見ながら曲を聞いてもらいたい。
あなたの気持ちにぴったりあう曲が見つかるだろう。