ブッダ / Buddha

ブッダ / Buddha

『ブッダ』とは、手塚治虫による日本の漫画作品で、歴史漫画と仏教を組み合わせた作品である。この漫画は潮出版社の少年漫画雑誌『希望の友』にて、1972年から1983年まで連載された。
本作品は、釈迦(仏陀)の生涯を中心に、仏教の教えや哲学に焦点を当てた物語である。物語は実在の歴史的な出来事と手塚治虫の創作が組み合わさっており、独自の世界観で描かれている。漫画内で「ゴータマ・シッダルタ」として知られる釈迦は、彼の生涯と啓示的な体験を通じて、仏教の教えを広める役割を果たした。
『ブッダ』は、日本国内外で高い評価を受け、2004年と2005年にはアイズナー賞の最優秀国際作品部門を受賞した。また、2010年にはアニメ映画として『手塚治虫のブッダ』全3部作が制作・発表された。
この漫画は、仏教や仏陀の生涯に関心を持つ読者にとって、深い哲学的なテーマを探求した興味深い作品となっている。また、人間ドラマや哲学的要素を組み合わせたストーリーが読者に感銘を与えている。

ブッダ / Buddhaのレビュー・評価・感想

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ブッダ / Buddha
10

こんな漫画家はもういない。ブッダよりすごい手塚治虫先生

この作品の魅力は、ブッダの物語そのものというよりも、
この壮大な物語を漫画で伝えようとした手塚先生のすごさがわかるような作品です。

まず主人公であるブッダの物語が始まるのは3巻からです。1、2巻の主人公は別の人物でブッダとは直接的には関係性を持ちません。
ただし、その主人公を取り巻く環境に、今後ブッダとの関係性がでてくるので、1、2巻が序章だといえます。
ブッダが仏教を広めようとするところまでが「ブッダ」と考えがちですが、
もう少し深く、違う話からこの物語を始めることで、なぜ「仏教という教えが必要か」ということがわかるようになる構成です。
この辺が普通の漫画とは違う、手塚先生のすごいところだと思いました。
先生はブッダのエピソードを始める前に、読者に理解して欲しいことがありました。
それは、当時のインドなどに存在していた厳しい身分制度による人権の侵害です。
生まれながらの身分から、脱することのできない宿命や差別についてが厳しく描かれています。
その他にも飢餓、病害、自然災害など、こうした厳しい環境で当時の人たちは生きぬいてきたことを知る必要があったのです。

現代人に問いかける、人はどう生きるべきかという哲学的な内容だと思います。