婚前特急

婚前特急のレビュー・評価・感想

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婚前特急
5

「たった一人のほんとうの相手」を見つけるまで

人生は時間をいかに有効に使うか。限られた時間の中でいろんな人といろんな体験をした方が絶対得!そんな考えのもと、彼氏が5人いるチエ。ある日、友人のトシコから突然の結婚報告を受ける。長い付き合いの彼と結婚したいがためにコンドームに穴を開けた末の「オメデタ婚」だそうだ。トシコは自分の結婚が決まった途端、「チエも結婚しなよ」「次はチエの番だね」と発言し、さらには、結婚式でチエを目掛けてブーケトスをやってのけた。それらが、いかに独身女性へ複雑な感情をもたらすのか知る由もないのだ。
誰しも結婚願望があるとは限らないし、自分の意思だけで結婚できるのなら苦労はしないし、自分がいつ結婚するのかなんて自分が一番知りたい。トシコの無責任な発言と行動に対し複雑な表情を浮かべるチエにひどく共感した。ここに、女性特有のヒエラルキーを感じざるを得ない。
トシコの結婚をきっかけに、チエは変わっていく。5人の彼氏を査定し、査定が低い順に別れることに。ところが、一筋縄ではいかない。自分が優位に立って査定しているつもりが、自分も相手に査定されているということに気づかされるのだ。走り出したら止まらない「婚前特急」に乗って、怒り、悔しさ、嫉妬を通り越えて新たな気持ちに気づいた時、チエの本気の恋が始まる。限られた時間の中で「たった一人のほんとうの相手」を見つけ、思い切り一緒に過ごすことの尊さを感じる映画だった。