ROUTE END

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ROUTE END
8

何かを考えたい、そんな時に読む漫画。

幼い頃に家族に起きた衝撃的な事件がきっかけで、特殊清掃という仕事に就いた主人公とその近辺で起こった、遺体をバラバラにし「END」とかたどって遺棄する連続事件、通称END事件を追ったサスペンス漫画です。
一見、残酷で異常なこの事件にどんな意味が込められているのか、どんな犯人なのか、主人公とどんな関係があるのか、気になる場面が次々と出てきます。
パッと見た感じ絵のタッチはシュールに感じるんですが、登場人物たちがそれぞれ持っている物語や、苦悩を知ることになるとすごくしっくりきて、世界観が出ているなーと思ってきます。物語の題材になっているものが、重いものばかりであるのにもかかわらず、絵の感じや登場人物の表情のおかげで何故かほっこり、まったりする気分になるのも魅力の1つではないでしょうか。
読み進めていくことで、人間の心理が複雑であるからこそ、この事件は歪み、複雑になり、いろんな要素が組み込まれているのだと分かってきます。
主人公、春野太慈のように繊細で、優しく、芯がしっかりしている人間になるには、辛い経験が必要なのかと思うとやるせなくなる気持ちがある一方、複雑な単純な心理を持っている人間だからこそ、これから何かの希望をつくることが出来るのではないかと期待してしまいます。深く、何かを考えたい、そんな時に読む漫画なのかもしれません。