ディザスター・アーティスト

ディザスター・アーティストのレビュー・評価・感想

レビューを書く
ディザスター・アーティスト
8

はみだしものでかまわない

友情の物語であり、ハリウッドへの皮肉であり、映画に対する愛情を表現している作品でもあります。
主人公はどこから来たのかもわからず、なぜお金をたくさん持っているのかもわかりません。自己顕示欲も強く、それを極めているのでナイーブな人からみれば芸術家志向でぶっ飛んでいます。
彼は役者を目指しているといい、彼を見て感化された20代の男の子を連れてハリウッドにやってきます。試行錯誤の上、とうとう自分の映画を作るしかない!と思い立つのですが、映画監督としては素人、やることもハチャメチャ、現場は混乱をきたし、一緒に連れてきた20代の男の子も逃げてしまいます。それでも彼は何とか映画を完成させました。皆にバカにされながら、笑われながら、自分の思いを形にしたのです。
正直、私も最後のほうの場面では大笑いしてしまいました。でも、ポイントはそこじゃないんです。あなたがたとえ人に笑われようとも、けなされようとも、あきらめない彼の姿に映画に対する愛こそが大事なのです。真剣になれば真剣になるほど笑われます。まがい物だといわれます。彼の頭の中では大傑作が誕生しているのに、現実は違います。でも、そういう人がいたっていいんです。彼の勇気としょうもなさを理解してくれる友人はいます。人間のぶざまさもまた、人から愛され称賛される一因になりうるということが、この映画では見事に表現されています。