映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!

映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!のレビュー・評価・感想

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映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!
8

プリキュアオールスターズが魅せる新境地、その挑戦と挫折

本作は、それまでの春映画での特徴だった全てのプリキュアが登場し協力して強大な敵と戦うストーリーから、多少視点を変えてプリキュアシリーズを支えた要因の一つである「歌とダンス」を前面に押し出した意欲作です。主となるキャラは「魔法つかいプリキュア!」で、みらい/キュアミラクルとリコ/キュアマジカルの2人。彼女たちはまだプリキュアになったばかりで戦いにも慣れていない。そんな所を本作の敵・ソルシエールと部下のトラウーマに付け込まれ、他のプリキュアと共に異空間に飛ばされてしまいます。気が付くとミラクルとマジカルは離れ離れになってしまい謎の怪物(過去のプリキュアシリーズにおいて強敵、もしくはラスボスを模した者)に追われるもミラクルはドキドキプリキュア、マジカルはハピネスチャージプリキュアのそれぞれのグループに助けられその強さを目の当たりにします。バトルの最中、謎の少女の歌声が鍵を握ると確信したミラクルは声のした方向を目指し走り続けます。しかしマジカルは敵側の一方的な猛攻に晒されすっかり戦意を失ってしまいます。その時問い掛ける先輩プリキュアたち。「私たちは大事な日常を守るため、それを脅かすものは許さない。平穏な日々が戻るまで絶対に諦めない」と。はたしてミラクルとマジカルは再会できるのでしょうか。ソルシエールが狙う「プリキュアの涙」がもたらす厄災とは?

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9

劇場版プリキュア20作目にして初のミュージカル

毎年春恒例のプリキュア映画、その栄えある20作目は作品としても初挑戦の『ミュージカル』。その制作プロセスはまず先に楽曲を吹き込んでから脚本を組み立て、セリフを録音するという、日本のアニメーションとしてはやや異例とも言える方法で作られました。その為ミュージカルに精通している方として作詞家としても有名な森雪之丞氏を招き、劇中歌の作詞と合わせてミュージカルとしてのプロデュースに名を連ねています。またゲストキャラクターの声優には数々のミュージカル作品に出演されている俳優が招かれ作品を引き締めています。
『魔法使いプリキュア』の主人公、みらいとリコは「立派なプリキュアになる」という目標の為、町の中を手掛かりを探しているうち「GO!プリンセスプリキュア」のはるかたちと偶然出会います。そこに突如プリンセスプリキュアの倒した敵・ディスピアが襲い掛かります。辛くも撃退した二組でしたがディスピアを遣わした黒幕ソルシエールの部下・トラウーマの魔法でみらい/キュアミラクルとリコ/キュアマジカルはそれぞれ別の異空間に飛ばされます。ソルシエールの狙いは願いを叶える魔法の素材となる「プリキュアの涙」を求めてそれぞれプリキュアの持つ最も恐ろしく、辛い対象を具現化し襲わせる事でプリキュアに涙を流させようというものでした。しかし例え倒され牢屋に詰め込まれようと彼女たちは泣くことはありませんでしたが、プリキュアとしては日が浅い『魔法つかいプリキュア』に目をつけたトラウーマは二人を引き離す事で涙を奪おうとします。くじけそうな状況に弱音を吐きそうになるミラクルとマジカルですが先輩プリキュアたちの不屈の闘志と諦めない気持ちを受け止め再び立ち上がります。上映時間70分の間に新曲も含め8曲が折々の感情と共に流れるのがとてもエモーショナルで良いです。歌に文字通り力をもらい巨大なラスボスと立ち向かうプリキュアたちの目まぐるしい動きは一糸乱れぬ乱舞のようですが、惜しむらくはミュージカルが今の所これ一作のみという事です。