血玉樹

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血玉樹
7

異色の吸血鬼漫画

山道をドライブでデートするアベックが事故を起こし、車が故障してしまい助けを求めます。寂れた村を見つけますが、不気味な子どもたちに血を吸われる女性、これは伊藤氏には珍しい一種の吸血鬼ものなのです。とある建物に住むこの村に唯一の男がとんだくわせもので、どうやら吸血鬼のようなのです。その詳細は説明されません。そして負傷した男性が見たものは、血の玉の植物が繁茂している部屋だったのです。これは実際に読んでもらわないとこの迫力はわかってもらえないでしょうが、この圧倒的グロさは伊藤氏の独壇場ですが、よくこういうアイディアを思いつくものだと感心させられます。そして、その部屋で死にかかっている人が語った内容とは、この吸血鬼に血を吸われると身体から血の玉が生えてきて、生きながられる方法はその血の身とでもいうべき玉を食べるしかないということです。ですが、それをやってしまうと今度は他人の血を吸わずにはいられないということなのです。どっちに転んでも絶望的シチュエーションというホラーらしいホラーな作品だと思います。この作品にだけではないのですが、伊藤氏のペンで描かれる女性の美しさも読みどころ一つではないでしょうか。自分の首筋から生えてきた血の玉を食べるというシーンでラストというのもホラーにつきものの後味の悪さ(これは貶している訳ではありませんよ)も良い(?)終わり方だと思います。