ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章

『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』とは、原作・川又千秋、作画・藤原カムイによる漫画作品。雑誌『月刊少年ガンガン』で1991年から1997年まで連載された。エニックスより発売されたゲーム『ドラゴンクエストIII』から初代『ドラゴンクエスト』の間の時代を舞台としており、ロトの血を引く主人公アルスが3人のケンオウとともに異魔神(いまじん)を倒す物語。単行本が全21巻、完全版が全15巻、ほか外伝として『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 Returns』が発売。また、1996年に短編映画化されている。

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章のレビュー・評価・感想

レビューを書く
ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章
9

勇者アルスと仲間たちの世界を救う冒険譚

今作はドラゴンクエストを原作にした漫画で、勇者として生まれた少年アルスが世界を救うために仲間たちと共に魔物に立ち向かっていく物語です。
序盤では少し頼りなく、臆病な面もあったアルスが、戦いを乗り越えていくことで成長していきます。この作品の面白い点は、悪役の一人一人にもしっかりスポットを当てて描写がなされている点です。中にはなかなか同情を禁じ得ないようなキャラクターもいて、とてものめり込める作品となっています。
勇者に生れながら魔王軍にさらわれ、魔王として育てられてしまったジャガンというキャラクターがいるのですが、彼の境遇は今作でも屈指の哀れさで、読んでいてどこか応援したくなるキャラクターです。
最終的にどのキャラクターにも救いのある話になっているのが良い点で、悪役でさえも倒される時は納得して死んでいくような場面が多いのも個人的には読んでいて良かった点です。
ドラゴンクエスト原作ではありますが、ゲームを知らなくても十分に楽しめる作品になっています。逆にこの漫画からドラゴンクエストを知ってゲームをプレイする人も多いのではないかと思います。世界の存在を賭けた壮大なテーマの中にも一人一人のミクロなテーマも盛り込まれた作品になっているので、とても素晴らしい作品です。