共喰い

共喰いのレビュー・評価・感想

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共喰い
8

辛いけど見応えはある。

なんだかとても暗い話でした。出てくる人、出てくる人、ちょっと「ん?」と思える性格です。
円は暴力男で女を人と思ってないし、千種の母である仁子も子どもを置いてきた理由が円の子だからとか、そりゃあ千種も歪むわと思いました。
この血のせいで、どうしようもないんだと思いながら育ったなんてかわいそうです。
千種はすごく悩んでて、でもどこかで暴力に憧れもあって、なんか不安定で、見ていて辛くなりました。
母に捨てられるなんて、一番辛いと思います。
でも、あの男の子どもならいらないとか、現実にあることだろうなとも思います。
時代が昔なこともあって、雰囲気のある映画でした。
また、千種役の菅田将暉さんがよかったです。
まだ、若い頃なので、演技が今よりも下手なところもあるのですが、10代の役とは思えない色気があり、雰囲気のある役者さんです。
こりゃあ、人気俳優になっていくよなと思いました。
暴力父役の光石研さんもやっぱりうまいし、役者がいい作品でした。
女に暴力を振るう場面もあり、ちょっと見ていて嫌な気分になる作品ですが、見応えのある作品でした。原作も読んでみたいです。

共喰い
10

新たな生活を自力で、時には力を合わせて切り開いていく

平成の時代に昭和臭を醸し出すことそれ自体も難しいのに、映像、ロケーションもとてもよかったです。
どうしても抑えられない衝動、そしてそれに否応なく周囲が巻き込まれてゆく。それが家族だけでなく、周りの大切な人達にまで及んでゆくどうしようもなさ。
そんな中でも登場人物たちはたくましく、しなやかな強さでもって、新たな生活を自力で、時には力を合わせて切り開いていく。
よくわからない山口弁と相まって、ラストはちょっと微笑ましい結末まで用意される、心地よいくらいのカオスっぷり。素晴らしかったです。
地方都市の夏祭りを舞台とする作品では、今年公開の「羊の木」よりもこちらの方がよほどおもしろい。
五年も前の作品ながら、菅田将暉の将来性が垣間見ることができます。
非常に面白かったです。helplessもそうでしたが、青山監督は画が本当に格好良いですね。服はヨレて髪も伸びてる日常の洗練部分だけを抽出するのが流石です。
性描写はそこまで無かったような…。物語も簡潔で分かりやすいし、説明不足もありません。
過激というのは物語に関係なく乳房を出す事だと思いますが、この映画の濡れ場はどれも必要で、客寄せで映してる訳ではなく我々の日常に密着した濡れ場だと思いました。