ドラえもん のび太の月面探査記

ドラえもん のび太の月面探査記のレビュー・評価・感想

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ドラえもん のび太の月面探査記
8

大人でも楽しめる内容

誰でも子どもの時に一度は目にしたことがあるであろうドラえもん。大人になり親になった今、改めて見ると子どもの頃とは違う視点で観ることが出来て面白い。
特にこの作品は、子どもの頃一度は考えたことがある月にウサギがいて餅つきをしているという想像から作られた作品なので大人でもわくわくする内容になっていると思われる。
ドラえもんを観ていれば一度は見たことのあるサブ的な道具も出てきており、子どもの時の気持ちを思い出せる。
本編では、のび太の友達がさらわれる場面や挫折しそうになる場面、両親の目を盗み仲間を助けるために旅に出るシーンがあるのだが、親目線で見ると何とも心配な気持ちになる。また、スネ夫が集合場所に行くときに躊躇うところは自分と重なる部分もあった。
全体的にテンポのいいストーリー展開なので、時間があっという間に過ぎていくほど見入ってしまう。
最後に訪れるお別れのシーンでは、のび太が笑顔で友達と別れるところがある。普段泣き虫なのび太の心の強く優しい部分が見れてとても感動する。
内容以外でいえば、映像美がすごい。星空、地球、夜空や風になびくススキがとてもなめらかできれいだった。
子どもだけでなく、大人でも十分楽しめる内容となっている。

ドラえもん のび太の月面探査記
6

辻村先生感弱め

大好きな作家である辻村美月さんが脚本を担当された、と宣伝されていたので見にいきました。ドラえもん自体も子供のころから好きで毎年見ています。大好きな辻村先生とドラえもんの融合。胸を躍らせて劇場に向かいました。

感想としては、面白かったです。ですが、例年のドラえもんとあまり変わらないように感じました。F先生に敬意を持ったうえで脚本を書かれたそうなので、自分の色を抑えられたのかもしれません。辻村先生が普段書かれる小説は、ミステリー色が強く、序盤からの謎が明かされることにより圧巻のラストを迎えます。伏線などもとても緻密。今回のドラえもんはミステリー色はそれほど強くなく、例年のようなわかりやすい感動シーンもありませんでした。しかし、序盤の何気ないセリフが伏線になっていたりするというのは「さすが辻村先生」と言いたくなります。
敵の大ボスの正体が人間ではなく実は破壊兵器AIだったり、永遠の命を持つ少年がのび太たちと関わる中で「限りある命」の素晴らしさに気づいたり…子供でなくても「今」を生きているわたしたちの心に訴えかけてくるような要素がたくさんありました。永遠の命を持つ少年「ルカ」とのび太やドラえもんたちの友情には、ホロリとさせられます。