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来るのレビュー・評価・感想

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8

オカルト好き必見のホラーエンターテイメント映画

開始3分で「ザ・ジャパニーズホラー」といった感じに、得体のしれないモノへの恐怖心を一気に煽られます。しかし見始めると多角的な視点で物語が進み、恐怖や嫌悪感の対象がコロコロと変化していく、不思議な感覚でした。ジャパニーズホラー独特の湿気っぽい恐怖感がありながらも、生きている人間の怖さも存分に味わえます。

ある一家を追い詰める「あれ」と呼ばれるモノの引き起こす怪異との闘いが軸となって物語が進みつつ、その合間に繰り広げられる人間模様が、ジトっとしてリアルで気持ち悪く嫌悪感を強く感じます。

『呪怨』や『リング』などのように恐怖の対象のおどろおどろしさや分かりやすい恐怖演出がメインのホラー映画ではなく、あまりにもサクサクと人が「あれ」に蝕まれていくのと、演出が無駄に引っ張られることもなくサクサクと見進められました。

中でも一番印象に残るのが、中盤からクライマックスにかけての霊媒師vs「あれ」のバトル描写です。イタコやユタなど古来より日本に存在する呪術師や霊媒師が一同に集結する様子や、各々の力を総動員して「あれ」と呼ばれるモノを祓うために行われる大々的な儀式はとても新鮮で、ホラーやオカルト好きにとってはある意味エンターテイメント性の高い映像なので必見です。

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10

まるでアクションもの

途中までは王道のホラー作品と言えるのだが、終盤は悪霊対人間の対決の描き方が、
まるでアクションもののような印象を与える、他とは違った作品となっている。
また、最初は妻夫木聡が主人公であると見せかけておいて、なんとストーリーの序盤の方で彼は死んでしまう。
まるでヒッチコックの『サイコ』で、ヒロインがあっさり死んでしまったかのような扱いだ。
そして、そこから主人公は岡田准一へとバトンタッチする。
岡田准一演じる野崎は、話し方もなんとなくつっけんどんだし、あまり関わりたくないタイプのように感じるが、
終盤で追い詰められたシーンでは、かなり人間臭くて急に親近感を覚えてしまう。
そもそも悲鳴を上げて逃げ惑う岡田准一というのも、なかなか見られないだろう。
しかも松たか子に足蹴にされたりもする。
ところで、野崎の恋人役である真琴は小松奈々が演じているが、小松奈々と言えば黒髪ストレートのイメージが強いと思っている人も多いはずだ。
しかし、キャバ嬢役ということもあってか、ピンクのショートヘアに目の周りをアイラインでがっつり黒くしているといういで立ち。
彼女のファンでもない限り、一見すると小松奈々だとは気が付かないかもしれない。
他にも、柴田理恵がなかなかインパクトのある役どころで、良い味を出している。
普通のホラー映画ではないものを見たい人には、おすすめだ。

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3

何かをはき違えたホラー映画

来るとは中島哲也監督作成、出演は岡田准一, 黒木華, 小松菜奈など豪華キャストの日本のホラー映画です。
以下はあらすじになりますが、結婚した男性が一人娘に恵まれるところから物語は始まります。
完璧な夫、イクメンを目指す男性は、自分のことや子供のことを細かにブログやSNSにアップしたりしていますが、実際には、子育てや家事は妻に任せきりという典型的な自称イクメンで、妻の思いは無視されておりやがて家庭は崩壊していきます。
それでも男性は、ある不安を抱えていて家族を守りたいという思いを持ち続けていました。
それは幼馴染だった女の子から言われた“それ”という、何かしらの存在が自分を連れ去り来るという話でした。
そして、やがて“それ”は男性も連れ去りにやってくると言うのでした。
ここまでがあらすじですが、非常にわかりにくいです。
まず、「それ」が来ると言われる原因などもあまり言及されておらず、唐突に「それ」におびえる結婚生活が始まったような描写からしてよくわかりません。また、妻である女性が急変していく描写もあるのですが、リアルすぎる人間心理を描きすぎた故に、「それ」に影響を受けた結果なのかどうかがわかりにくいです。
ただ、霊媒師の人がいうセリフは名言ですので、それを見るために見るのもありかなと思います。

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8

アレが来る!

映画は、なんだかわからないけど、昔から父を追ってたアレにより父が死ぬ一部、シングルマザーとなった母が死ぬ2部、アレの除霊を行う3部に分かれていて、とても見やすかったです。日常シーンも多いし、そんなに怖い話でもないかなとも思いましたが、人の死にざわはひどいし、小さい子がひどい目にあうし、結構怖かったです。出てくる人も極端に悪いとかじゃないけどいけ好かない感じだったり、子育て、仕事に追われて大変な感じがよく出てたりしてよかったです。また、除霊シーンがすごくよかったと思います。キャバ嬢兼霊能者真琴ってすごくいいキャラだし、またその姉の松たか子さんがすごくよかったなと思います。それに、柴田理恵さん演じる霊能者がすごくよくて、最初、コミカルキャラかなと思ったら、次出てきた時はシリアスで、アレとの対決に見事でした。アレを払うための除霊もすごい大掛かりで、そこがよかったです。あんまりこじんまりとされると、アレって大したものじゃないのかなと思っちゃうので、今回の世界観はよかったと思います。この映画は、原作小説があるようなので、それも読んでみたいなと思いました。アレが結局なんだったのか、詳しい設定とか読んでみたいです。

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8

ある意味見応えがあった

予告を見る限りジャパニーズホラーらしい感じのする面白そうな映画だな、という印象を受けて見てみました。序盤の方はまだそこまで怖くは無いものの、徐々に怖い雰囲気を出していくといった流れです。
結局最後まで何が来るのか?得体のしれない何かが迫ってくる緊張感が何とも言えない良さを醸し出しています。
以下、ネタバレ注意です。

物語の中で夫婦間のわだかまりが原因で起こる衝突というのが出てくるのですが、演じている俳優・女優さん達の元々の印象と演技とで実際にありそうな感じの生々しさが出ているのが、物語に凄くなじんでいました。育児ブログを通して周囲からイクメンとして慕われる一方で実際は育児に対し傍観的な夫。家事や育児に追われ、ブログを書き連ねるだけの夫に対し苛立ちが募り、ストレスのあまり最愛の我が子に対しきつく当たってしまい後悔する妻。如何にもありがちというと語弊がありますが、ありそうな夫婦の形だからこそ感情移入しやすいものがあると思います。
また、予告を見る限り主人公夫婦を中心として物語が展開していくものだと勝手に解釈しておりましたが、中盤あたりに差し掛かって呆気なく主人公夫婦が退場してしまうという新鮮な演出が面白かったです。
ただ、少し残念なのが序盤・中盤の演出が上手かったが為に終盤あたりの流れがグタグタしているような感じがしました。ただ除霊系統のオカルトが好きな人としてはその終盤の流れも面白いのではないかと思います。

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8

出来ればシリーズ化してほしいけど…

原作タイトルが『ぼぎわんが、来る』で、映画は『来る』。いまいちヒットしなかったのは、まずタイトルが良くないと思います。映画は妻夫木聡扮する夫と黒木華扮する妻とが、田舎の法事やら結婚式やら、嫁の立場から見たら悪夢のような生活で始まります。妻夫木がほんとクソみたいな夫です。イクメンパパの子育てブログとかやってて。実際には子供のオムツすら替えない。ああいうのいるいる…みたいな感じでイライラしました。茶番感がすごい結婚式とか、妊婦を働かせるホームパーティとか。前半が地獄だったので、あとのホラー展開はむしろスカッとしました。柴田理恵の霊能者がマジでかっこいい。こんなかっこよくていいのかってぐらいかっこいいです。霊能者がどんどん集まるところとか熱い展開。女子高生たちが巫女さんだったり。妻夫木の友人の民俗学の教授が黒木華の浮気相手だったってだけで設定が生かされてないのが気になりました。もっと「アレ」について色々語ったりしたらいいのにと思いました。松たか子と小松菜奈の霊能者姉妹がめちゃくちゃかっこよかったので出来ればシリーズ化してほしいけど、無理かなあ。もうちょっと映画がヒットしていれば…、と残念です。