角松敏生

角松敏生のレビュー・評価・感想

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角松敏生
8

「SEA LINE」について

「SEA LINE」はインストゥルメンタルで、ボーカル一切なしの楽曲です。ギターがメインですが、JAZZに通じるような各楽器がメロディラインを奏でるパートがあって楽しめます。夏の海をイメージしていて爽やかな音とテンポが心地よく感じます。

また、1980年代にデビューした角松敏生ですが、昔の作品でも古臭さを感じることなく、現在でもおしゃれなイメージで聞くことができます。
YouTubeでも様々なゲストと共演しており、アレンジも様々で同じ曲でもいろいろなパターンを楽しむことができます。インストゥルメンタルではレビュータイトルの「SEA LINE」をはじめ、シャカタクの「Night Birds」を彼がリメイクしたバージョンは圧巻です。

ボーカリスト、作曲者としても優秀で、杏里に提供した「I CAN'T EVER CHANGE YOUR LOVE FOR ME」を杏里とデュエットしたライブは、しっとりとした大人の雰囲気が漂います。
音楽に関するマルチな才能がとても魅力的で、ボーカリスト、ギターの演奏、作曲の才能とどれを取ってもトップレベルで活躍しているところが、他のアーティストと比較して秀でている点だと感じます。それを数十年やり続けていることが素晴らしいです。

角松敏生
9

様々な顔を持つサウンド・クリエイター

この方の多才ぶりには、いつも尊敬の念をいだいています。
シンガーソングライター、プロデューサー、ギタリスト、他アーティストへの楽曲提供等、様々な活動をしています。これは勿論、自身の活動にも反映されており、バラード・アルバムを作ったかと思えばダンサブルな12インチシングルを多数発表し、そうかと思えばシンガーでありながらギター・インストアルバムを作ったりと一箇所にとどまらない八面六臂の活躍をしています。
常に最先端なサウンドを取り入れて来たのですが、自身の活動を「凍結」という、これもまた彼なりの勇気ある決断だったのでしょう。この「凍結中」はプロデューサーとして多忙な日々を送っていた訳ですが、この「凍結中」に自身のヴォーカルに対して、やっと満足できるレベルに到達したとインタビュー等で述べていました。とかく、氏は80年代の作品についてはあまり高い自己評価をしてはいないのですが、それでも私個人としてはヴィヴィッドなサウンド・スタイルは洗練されて都会的なものと認識しています。
そもそも氏は当時のシティ・ポップスの雄としてデビューした側面もある訳なので、そういうイメージで接していたリスナーもいるのでは。活動再開後の氏の世界が時間をテーマにしたり、都会的なものから普遍的な「愛」を描いたりと、深みが増しているような気がしてなりません。